いまも少し大きめの書店を覗くと、1月20日、米国第44代大統領に就任したバラク・フセイン・オバマに関する特集コーナーが設けられ、たくさんの関連本が平積みされている。
軍事面ではテロとの戦いを宣言し、アフガン、イラクに侵攻、経済面では市場原理主義を徹底して進めた挙げ句サブプライム問題を招くなど、ブッシュ政権の2期8年への反動からか、それとも、ご祝儀相場のつもりなのか、その関連本の圧倒的多数はオバマを讃えるか、好意的な内容のようだ。
そんななかで、唯一、辛口といっていいのが本書。
考えてみれば、大統領が変わっただけで、これまでの方針が劇的に変わるわけもない。また、オバマが本気で変えようとしているなら、選ばれるわけもなかった。
そもそも、米国には実質、共和党と民主党の2大政党しか存在せず、この両党にどれだけの違いがあるのかと著者は言う。
そして、オバマ政権に軍事、経済両面で、ブッシュ政権時の重鎮が横滑り、ないしは、その“部下”が就いているケースが多いことを指摘している。