文・伊藤直樹
●景品交換所の経営権譲渡を巡る裁判
パチンコはホール、景品交換所、景品問屋の「三店」がまったく異なる経営主体という建前の下、パチンコ業界が違法性を逃れていることは、以前、本紙でも述べた。
しかし、実際に、この「三店」が密接につながっているとしたら―――。 それが発覚したのは、平成17年12月6日、さいたま地方裁判所に起こされた民事訴訟からだった。
景品買取業者である『(株)丸十商店』が、『ウィンザージャパン(株)』に平成16年7月9日、『(株)丸十商店』が有している埼玉県内の一定地区のパチンコ店の景品交換所において経営する営業権を2億3千万円余で譲渡する契約を締結した。
ところが、『ウィンザージャパン(株)』が『(株)丸十商店』に1億4千万円を支払ったところで、譲渡契約の内容などを巡って両者間に紛争が生じた。
そうしたなか、『ウィンザージャパン(株)』は代理人を通し支払い済み分の返金請求をする一方、平成17年10月14日、その返金請求権を個人に譲り渡す。
この結果、現在、『(株)丸十商店』(被告)と返金請求権を譲渡された個人(原告)との間で訴訟になっている。
この裁判でハッキリしたことは、通常、表に出るはずもない「三店方式」の一角である買取業者の営業権が金銭によって譲渡されているという事実だ。
確かに、パチンコ雑誌にさえ、買取業者や卸業者の新規参入に関する広告など見たことはないし、そもそも新規参入が出来るのかどうなのかさえ、外部からは窺い知れない。
そして、取材を進めていくうちに、この当時、埼玉県ではホールと景品交換所、景品問屋の「三店」が独立したものではなく、三位一体の癒着の構造を示すさまざまな内部文書を入手することができた。
これは厳密に言えば、法律違反と言わざるを得ないほど重要な文書だった。