政府が新しい政策を諮問するときに設置されるのが審議会だが、この審議会のメンバーを誰が、どのように選ぶのかはきわめて不透明だ。
実際には政治家、官僚、業界の都合のよい人物が選ばれていることが多い。トヨタ自動車と日本経団連会長を兼務していた奥田碩氏、オリックスの宮内義彦会長などその典型例で、NGOや(政府案に批判的な立場の)学者は、はじめから排除されているといってよいだろう。
そのため、政治改革は一向に進まないどころか、いま大問題になっている労働者派遣法のように、産業界に使い勝手のよい、国民無視の法律が出来上がってしまうことも珍しくない。
これに対し、そうならない制度として、イギリスの「公職任命コミッショナー制度」なるものを紹介しているのが本書だ。
著者の日隅一雄氏は、「行政法人や審議会などのメンバーが天下りやお友達人事で決まることを受け入れている日本の市民に、別の方法があることを知ってもらい、透明度の高い行政を実現することに少しでも寄与したい」と編訳した動機を本書で述べている。