本紙では以前、北朝鮮政府製造の米100$札について報じたが、今回はタバコ販売の最新実態をお伝えする。情報源はどちらも北朝鮮内の現場責任者を本紙特派スタッフが直に取材、そして撮影して来たものだ。
冒頭に掲げたのは、その5ブランドの内の2つ(ゴールデンエレファントと2種類のキャメル)。
この商品、その包装紙を見ただけではまず見分けはつかない。ただし、写真中央のキャメル(水色)だけは、安い紙、それに印刷で済ましているためだろうか、光沢がなく、このブランド愛用者ならおかしいと気づくかも。
それにしても、なぜ、有名ブランドのタバコなのか。
「麻薬や武器販売は米国を始め各国の強い反発を招く上、商談相手も特定され、リスクが大きい上に収入になるまで期間を要する。だが、タバコは完全な合法商品だから反発が少ない上、即、現金になる。そこで経済制裁が厳しくなった今年に入って生産・販売が急増しているようです」(特派スタッフ)
実はこれら北朝鮮製タバコは、お隣の中国(香港、マカオ含む)でだけ販売されているという。なおさら、各国の反発は少ないわけだ。
麻薬や武器販売に比べ、たいした売上げ高でないなんてことはない。中国でのこれらブランドタバコ1箱の正価は10元(1元=15円計算)といったところ。だが、卸値は4元。そしてこれら商品は中国のタバコ店に“本物”として並ぶから、卸人と店側(一般人はわからなくても、彼らプロは気づいている)が例えば、売値との差額6元の半々で分けるといった具合。
「例えば、1コンテナにこれらタバコだけ詰め込んだら約7000万円の取引になる。しかも、卸人とは現金取引。即金でカネになるから、北朝鮮政府にとっては実にいい商売ということだ」(同)」
もちろん、卸人は中国のマフィア関係者。店側は一般人だが、日本と違い、中国は汚職が蔓延しており、その倫理観はひじょうに低いということだ。