メキシコで発生した豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザ(H1N1型)は、幸いにも、スペインかぜより死亡率(2%)は低い弱毒性との見方が固まって来ている。
当初、死亡率6%という見方もあったが、それは、通常のインフルエンザによる死者も含まれていたり、感染者の数が低く見積もられていたためだったことがわかっている。
一方、新型ウイルスの解明も進み、北米と欧州・アジアの少なくとも2種類の豚インフルエンザが混ざってできたもの、スペインかぜの原因と見られる遺伝子を持っていない――つまり、1918?1919年に大流行し、当時の世界人口の3割近くが感染、推定死者4000万名を出したスペインかぜより病原性は弱い(死亡率は0・1~1%)と思われることがわかって来た(冒頭写真=「日経」5月4日記事)。
こうしたことから、新型インフルエンザとはいうものの、基本的に例年流行するインフルエンザとそう大差ないと、早くも楽観論が大勢を占めつつある。
だが、この新型インフルエンザを甘く見てはいけない。
専門家のなかには、スペインかぜも当初はもっと弱毒性だったが、第2波で死亡率が高くなった模様で、薬への抵抗性を獲得するなどして今回ももっと死亡率が上がる可能性を指摘し、警戒を呼びかける向きもある。
だが、本紙が指摘する次なる恐怖とはそんなレベルではない。
今回の新型インフルエンザが、致死率60%以上という強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1型)が変異した新型インフルエンザを呼び込む可能性をいっているのだ。