本紙はこの8月3日、「安倍官房長官の地元・下関市市長選における選挙違反疑惑ーー山口地検は全員を不起訴に」なるタイトル記事を報じた。 これに納得いかない、告発人である高見俊幸下関市会議員は検察に8月8日、「不起訴処分理由告知請求書」を提出。 そこで、「処分理由も添付されず、従って何ひとつ不起訴処分理由が不明である」、「単に不起訴と伝えるだけでは、明らかに理由不備であり、憲法上の権利として公開されている『知る権利』を無視することで憲法違反である」と述べ、不起訴の理由を明らかにするように迫った。 これに対し、同日、山口地検は冒頭に掲げた「不起訴処分理由通知書」を交付したのでお伝えしておく。 そこに書かれているのは、「不起訴」と一口にいっても「嫌疑無し」、「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種があり、そのどれに該当するかに回答しているに過ぎない。 とはいえ、自民党豊浦支部長の岩崎義男(県警OB)が「嫌疑不十分」で、後は11名全員「起訴猶予」で、決してシロ(その場合は「嫌疑無し」となる)ではなかったわけだ。 この「嫌疑不十分」や「起訴猶予」は、例えば警察が株主総会シーズン直前に総会屋を、あるいは公安警察が運動家をデッチ上げ逮捕し、それ故、さすがに検察も起訴にはしなかったが、しかし、「嫌疑無し」では誤認逮捕との批判を受けるため、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」に恣意的にしているとの指摘もあるほど、裁量の範囲が広いとも。 今回のように逆に本来は起訴されて当然でも、しかし起訴したくない場合、やはり裁量権を使って「起訴猶予」にすることもあり得ないわけではない。 なお、告発人である高見市議は、同市でタブーとされる市と暴力団の疑惑でも議会で質問するなど、良識派市民からの評価は高いと聞く。…