東京都渋谷区内の不動産関連会社T社に、弁護士名で「支払い命令兼訴訟準備通告書」なる不可解なタイトルを付けた簡易書留が速達で届いたのはこの8月1日のことだった。
何事かと封書を開けてみると、元社員に対し未払い給与(1カ月分)、同定期代など総額約25万円の支払いを求める内容だった。
確かに、このIなる者(59)は今年7月15日まで3カ月少し在籍していた。だが、一身上の都合で辞めたもので、未払い給与などなかったという。
しかも、もっと不可解なのは、8月8日10時までにその約20万円を振り込まないと警視庁には詐欺罪で告発、労基署には労基法違犯で申告し、差押え手続きに入ることを「つうこくする」などと平仮名で書かれており(振り込み口座は書かれていない)、弁護士にしては用語的にもあり得ない内容。おまけに、差出人の弁護士名は姓のみで、なぜか「富山県所属」となっていた。
「7月22日、うちに労基署を名乗った者から、“強制捜査に入る!”と電話がありました。本当なら、事前通告しないでしょう、社員によれば、うちを誹謗中傷する匿名の内容がネットに書き込まれてもいるそうです」(社長)
そこでこの会社、もしやと確認してみたら、何とこの元社員I氏、過去にもトンデモ事件を起こし2度逮捕されていることがわかり、「あのいるかいないかわからないような男が!?」(同)と驚いたという。