現在、国際的な製薬・バイオテクノロジー企業「ノバルティス」(スイス・バーゼル)はわが国で業務停止中(3月5~19日)。薬の重い副作用情報を国に報告してなかった医薬品医療機器法(旧薬事法)違反に当たるとして厚労省が行政処分を下した結果だ。
もっとも、ノバルティスには他にも行政処分が検討されている。
他でもない、本紙でも既報のように、同社が開発した降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)は他の降圧剤に比べ脳卒中や狭心症のリスクを4~5割も減らすということで年間1000億円以上も売り上げる№1医薬品だったが、これが真っ赤な嘘。同社が臨床を依頼した慈恵医大など5大学との間でデータが改ざんされるなどしており、すでに同社元社員が医薬品医療機器法違反(誇大記述・広告)容疑で逮捕・起訴されている事件についてだ。
そして今回の業務停止にしても、患者の生死に関わることなのに業務停止に先立ち卸し会社に買いだめさせている模様で、同社の売上げに影響を与えることはないようだ。
そして、さすがに前代未聞といっていいディオバン事件の方の行政処分も、やはり大甘になるとの見方が出ている。
一言でいえば、大学だけでなく、厚労省も製薬会社とはなあなあの関係故、重い処分を下せるわけがないというわけだ。
本紙は、その産学官癒着の象徴ともいえる証拠写真を入手した。
今回のディオバン事件を受け、厚労省がその疑惑解明のための有識者会議を設置したのは13年8月のこと(昨年11月、報告書が出る)。大臣直轄の委員会で、年金問題で信用失墜した社会保険庁の組織改革など、厚労行政に関わる極めて重大な問題を論議する際に設置される。
ところが、その12人の検討委員会メンバーの中に、ノバルティスのこの間のディオバンの宣伝に大きく関わっていた大手出版社編集委員が入っていたからだ(以下に、委員会に出席中のその編集委員の写真掲載)。