現代版蟹工船とでもいうべき実情を告発する内容が寄せられたとして、月刊経済誌『ZAITEN』の「今月の怪文書」コーナーで取り上げられた(冒頭写真。19年1月号より)この大手ビル管理会社、同記事タイトルには「メガバンク出身社長」とも付いていたが、それは現・三菱東京UFJ銀行のことだ。
未上場ながら、年商は単体でも約383億円(18年度)と上場企業でもおかしくない数字。しかも、いまでは関連会社で原発施設関連メンテも行う(福島第一原発の汚水処理や除染も)など、一大グループを形成している(この原発関連会社だけでも年商約253億円=18年度)。
そもそもは元日興証券社長の義弟が、ビルメンテナンスを目的に1953年に設立。競合会社の吸収合併もあり、いまでは都心部の大型物件を主体に、総合ビルメンテナンス業務を手掛ける独立系大手に。
対象となる大型物件のなかには「新丸の内ビルディングス」「東京ビッグサイト」「早稲田大学」「横浜ランドマークタワー」「東京ソラマチ」「JPタワー」「ディズニーリゾート」なども。なかでも三菱地所系列のオフィスビルが多い。
この大手ビル管理会社の子会社警備会社で契約社員として私立高校で警備員をしていた渡辺治氏(68)が夜間勤務中に急性心不全で倒れたのは昨年2月7日夜中。ほとんど意識が戻らないまま4月2日に死去。倒れる前、1カ月間は「連続22日勤務」、それも労働時間が1日20時間を越えることもあるなど長時間労働が少なくなく、渡辺氏は増員を求めていたが断れていたという。遺族は労災申請をし、昨年10月17日、厚労省で記者会見までしている。(横写真=「弁護士ドットコム」18年10月17日記事より。記事は「東京新聞」18年10月18日)
この件は、全国紙やNHKでも取り上げられ、一部でその子会社名「グローブシップ警備」(東京都中央区)も上げられた。
しかしながら、このケースは氷山の一角で、親会社こそが問題との告発が本紙に昨年末に内部資料と共に寄せられていた。