近年、天動説が地動説に取って替わるほど、脳科学の分野は大転換しており、それを一般向けに解説したのが本書。
その大転換のポイントは2つある。
一つは、かつての脳科学においては、2歳になれば脳は成熟し、それ以降、私たちはこの脳を生涯使い続けるというのが常識だった。
もちろん、記憶したり、学習する度に、新しいシナプスは作られる。しかし、それが若干のシナプス形成という小規模な変化に過ぎず、皮質がそれまで担っていた機能の他に別の機能も果たすといった、脳の大規模な変化は、胎児や赤ん坊の時期を過ぎれば起こることはないとされて来た。
そしてもう一つの常識は、大人の脳の神経細胞は再生しないというものだった。
だから、例えばアルツハイマーになり、神経細胞が破壊されれば、それによって失った知能や記憶は戻らないと信じられていた。
だが、このどちらの常識も、いまでは事実でないことがハッキリしたというのだ。
では、これがいまの我々大人にどんな意味があるのかというと、もちろん、大ありだから、本書をお勧めしているわけだ。