「京王プレッソイン」は、「京王電鉄」(東証1部)グループが、レストランや宴会場を持たない、シングルルーム主体にすることで、従来のビジネスホテル並の価格で、ホテル並のグレードを提供する新しいビジネスホテル。 01年6月に京王電鉄の100%子会社としてホテル名と同じ「京王プレッソイン」が設立され、02年2月にオープンの1号店を皮切りに、現在までに以下のように計7店をオープンさせている。 「京王プレッソイン東銀座居」 「京王プレッソイン神田」 「京王プレッソイン池袋」 「京王プレッソイン五反田」 「京王プレッソイン新宿」 「京王プレッソイン茅場町」 「京王プレッソイン大手町」 そして、内3店舗が、今回の姉歯建築設計事務所の構造計算書偽造問題を契機に耐震強度不足が明らかとなり、閉店(休業)を余儀なくされている。 被害者の立場にあることは間違いない。 だが、本当にそれだけなのか。 というのも、この7店舗の内、5店舗が、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の指導を受け、結果、基本的に構造設計は「姉歯建設設計」、設計は「平成設計」、施工ははるばる熊本に本社を置く「木村建設」と、いずれも実績も知名度もない各社に振り分けられていたからだ。そして、検査機関は「イーホームズ」。 実は総研の本社に平成設計は本社を置いており、そして平成設計の100%親会社が木村建設。姉歯設計は総研の下請け会社という位置づけにあった。 本紙に、ある不動産会社社長からこんな情報が寄せられた。 「4年ほど前、京王グループがビジネスホテル業に進出中と聞き、土地の斡旋をしようと、ある銀行筋のコネを使って京王電鉄の幹部にアポを取った。かなり強力なコネですよ。ところが、“ビジネスホテル関係のことは、すべて総研さんに回している。不動産の斡旋も含めてだ。総研さん以外のところに手数料を支払うつもりはない”とまったく相手にされなかった。総研の名は聞いたことがあるが、それにしても、木村建設やまして平成設計など聞いたこともないところを、京王ともあろうものがなぜ使ったのか? 門前払いの対応といい、総研との間に特別な関係がないとあり得ないと思った」 しかも、京王電鉄の関連会社には「京王プラザホテル」があり、建築に精通する者を多くグループ内に抱えている。それが、なぜ総研の指導の下、木村建設等の出番で、また、これまで問題を見抜けなかったのか? 株主総会で糾弾されるのは必至だろうともその社長は感想を漏らした。…