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<書評>「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」(加藤陽子。朝日出版社)

 日本近現代史が専門の東大教授が、高校生に対し、日本はなぜ無謀というしかない太平洋戦争に突入していったのか、特別講義したものを本にしたもの。
相手が高校生故、そのころの歴史の一般知識がなくても読める。だが、わが国政界と軍部そして一般国民の動向と、帝国主義時代だった当時の世界情勢を交え、しかも最新の研究成果も披露しており、そのレベルは高い。
軍部の暴走はよく言われるところだが、本書を読むと、テロを恐れてモノを言わなくなった政治家、マスコミもそうだが、何より多数の国民が軍部、すなわち中国侵略を支持していたからこそ、太平洋戦争に突入したわけで、日本人という“人種”の一度熱すると冷静さを失う危うさを痛感する。それは、あの小泉郵政選挙時とも重なるものがある。
しかも、太平洋戦争の道に繋がる日中戦争に関し、当時、日本は中国を侵略しているのではなく、むしろ匪賊を討伐している意識だったが、それは9・11NYテロ後の「正義」を掲げるアメリカとも似ているとの指摘は新鮮だ。

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