2008年後の原則・廃止に向け、いよいよ待ったなしの政府系8金融機関の統廃合問題ーーその改革の行方を決める経済財政諮問会議(議長・小泉首相)からは、大企業向けの業務は完全廃止すべきで、残すとしても零細中小企業向けに関してのみで、それも融資ではなく、信用保証などに限定すべきだとの提言も出ている。 だが、これら政府系金融機関は、本紙でも既報のように、各省庁の天下り先になっている上、一部大企業と癒着関係にあるため、これまでの莫大な財政投融資の無駄遣い、焦げ付きへの反省もなく、この11月の基本策定を前に、改革阻止の圧力が高まっている。 そこで、いかに杜撰なのか、国際協力銀行に関してあるデータを紹介する。 ●2001年度データによると、わが国大手企業向けが6割 国際協力銀行といえば、多くの国民はインドネシアなど発展途上にある海外政府関連への融資が基本と思っているのではないだろうか。 ところが、少々古いが、本紙が独自に入手したデータ(2001年)の旧輸銀業務(国際金融等業務)の債権残高比率によれば、いわゆる企業向けは約60%(内、大手商社が7%)。外国政府向けは40%に過ぎないのだ。 当時の国際金融等業務の残高が約10兆円規模であることを考えれば、大手商社だけでも概算で7000億円、国内大手一流企業等向け残高は約6兆円相当の規模であったことが推計される。 これまで国際協力銀行は、途上国政府等のリスクを取って民間銀行を補完していると主張し、融資案件のプレスリリース等も意図的に外国政府向け案件ばかりを取り上げ、国内大手一流企業向け融資の実態を隠蔽して来た。だが、実態は、民間銀行と直接競合し、民業圧迫要因となっているのだ。 しかも、その融資先には、融資の見返りとしてOBを多数天下らせるなどの癒着の構造が存在する。 国際協力銀行などのこの間の説明は、組織防衛と自己保身を目的としたものに過ぎない。…