●大量保有報告書の特例撤廃を早急に 11月16日、今なお村上ファンドがTBS株を6・5%程度所有しているとの情報が流れ、話題になったのは既報の通り(ただし、村上ファンド側は否定している)。 前日、提出された大量保有報告書を受け、村上ファンドのTBS株保有割合は0・52%にまで低下していたことが明らかに。つまり、高値で売り抜けて少なくとも100億円以上儲けていたわけだが、それが一夜で一転、大株主に復活したかっこうだ。 楽天は現在、TBS株を約19・09%取得していると見られ、もし、村上ファンドの6・5%再取得が真実で両者が組めば、すでに25・59%保有していることになる。楽天は11月18日、TBSが提案している統合を拒否すればTBS株を経営への影響力を強められる3分の1超まで買い増しする構えと報じられているが、そのハードルがかなり容易になり得るだけになおさら村上ファンドの6・5%再取得情報は注目される。 もっとも、このようなドタバタが起きるのは、大量保有報告書に関し、村上ファンドなどの投資顧問会社など機関投資家には、一般株主(上場企業の株式を5%以上取得した場合には5営業日以内に届けないといけない)と異なり、10%以下なら年4回の報告だけでいいという特例が認められているから。 6・5%再取得が真実かどうかは、当事者同士が認めない限り、次回報告が義務付けられている来年1月15日(ただし、15日は日曜日のため実際は13日)まで謎だ。しかも、今年12月末時点で5%以下にしていれば、報告義務すらないから(11月15日は0・52%でも、逆に5%以上の大株主で無くなったから報告義務が生じた)真相は永遠の謎ということになる。 このような特例は、ハッキリいって、機関投資家に投資する(最低1億円以上が原則)金持ち優遇以外の何者でもない。情報の透明度が低い分、仕掛ける側のマネーゲームを容易にしてやっているわけで、こんな特例を認めてやる必要はない。表向き、機関投資家は一般投資家と違って、ファンドに投資している多くの投資家の書類整理をしなければならず時間がかかるからともいうが、その分、高い顧問料や利益の一部を得ているのだから迅速な処理は義務で、理由にはまったくならない。 ●16日以前からTOB必至と買い付け価格まで示した怪情報も 実は筆者の元には、村上ファンドと連携しているという者から、11月16日前から、「すでに村上ファンドは取得株を売却しているが(16日前からそうした情報は一部で流れていた)、再度かなり買い進めている」との情報が入っていた。 この情報には、さらに「楽天と村上ファンドは連携している。今後、間違いなくTOBを掛ける」として、その公開買い付け価格まで明かすという尾びれが付いていた。 株価に影響するといけないので具体的数字は明らかにできないが、現在の株価よりかなり高めだ。 だが、冷静に見れば、村上ファンドの売却分のかなりを楽天が買い増しした可能性が高い。両者は連携しているというより、村上ファンド側が焦る楽天の足下を見て高値で売り抜けたと見る方が筋が通っている。つまり、今回の6・5%取得の真相は、村上ファンドと連携していると自称する株式ブローカーの与太情報の可能性が高いのではないか。 その点、11月16日の情報が流れた翌日、TBS株が高騰しなかったのは投資家の賢明さを物語っている。大手マスコミもこうした裏のはっきりしない情報は無視してもいいではないか。一般投資家はくれぐれもご用心を。…