■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
新年明けましておめでとうございます。本年もアクセスジャーナルのご愛顧を賜りますよう、なにとぞお願い申し上げます。
さて、さっそく株式市場の概況をお伝えしたい。12月27日、大納会の日経平均株価の終値は20,015円で引けたものの、明らかに終値2万円台を狙った筋による、頑張った感あふれる涙ぐましい努力だったようにみえた。
するとやはり、日本市場が休場となる中、米国市場は4日もの営業日があったため下落基調となる。そのなかでも特筆すべきは1月3日(木)。米国・アップル社が18年10-12月期の売上高を、従来予想から最大約1割下振れ(※売上の2割を占める中国での販売不振から)させる840億ドルに留まるとの見通しを示し、これを受けて同社株は終値で-9.96%安と大暴落した。ちなみにこれを発表した直後の夜間PTSでは-8%安程度で済んでいたのに、場が始まってから、-9.96%安の安値引けだったわけだ。
このショックは中国でビジネスを手掛ける、半導体株などを巻き込み、米国株市場全体の下げを加速させ、NYダウは-660ドル安。また3日に発表されたマインド指数の代表格である、米国12月ISM製造業景況感指数も、コンセンサスが57.9であったにもかかわらず、54.1と、前月比-5.2ポイントと著しく悪化。これは、リーマンショック時の2008年10月以来、約10年ぶりとなる前月比でのマイナス幅の記録だったとのことで市場は大動転した。
米国市場の動転に、翌日の日本市場はたまったもんじゃない動揺をみせる。寄り後、水準を切り下げ続け、底なし沼となったかのような展開で、AM10:00には-770円安の19,241円台まで売り込まれた。「12月26日につけた18,949円を目指して下がるのか?」と、投資家なら脳裏によぎったはずだ。
しかし、AM10:30に「米中1月7日ーー8日に次官級の通商協議」との外電が入るや、19,400円まで大ジャンプ。筆者は幸いにも先物の画面を開いており、この急騰を運よくとることができたのは完全なるラッキーだった。ただその後も場中に、中国の景気対策「預金準備率を1%引き下げて24兆円の貸し出し余力」の報道がでて、日経平均株価の大引けは、-453円安の19,561円で着地。その夜(4日)には、米国の12月雇用統計が素晴らしい実績となった上に、パウエル議長も「必要ならバランスシートの縮小政策を変更できる」「忍耐強く景気に配慮をした金融政策を進める」と発言したことから、NYダウは+747ドルもの大暴騰となって引けたため、日経平均株価先物は、20,100円までの大幅上昇となる、前日比+539円となって週を終えている。
1月4日(金)の相場では、特徴的な動きがでていたと感じたのでご報告したい。まず小型株の市場であるジャスダックと、マザーズの頑強な値動きだ。日経平均が-2.26%安の-453円で引けたにもかかわらず、ジャスダック指数は-0.26%安、マザーズに至っては+1.85%高。
加えて、やけに大幅高(ストップ高)となる銘柄が目立った。特にマザーズ(横写真)は、昨年12月に、評価損益率が-30%を遥かに上回る水準をキープし続けたため、極めて需給が軽くなっているように思える。昨年の年間騰落率をみると、日経平均が-14.8%であるのに対して、マザーズ指数は-34.7%。最高値からだと、日経平均は-22.5%、マザーズは-45.2%だったことも鑑みると、マザーズ銘柄は売り枯れが鮮明になっているようだ。
また、日経平均の下落幅(-2.26%)よりも、TOPIXの下落幅(-1.53%)が、かなり小さかったことも見逃せない。これは暴落中の前場から見られた傾向で、これがあったため筆者は、「日経平均だけやけに売られすぎ!?」と、先物の画面を開いて待機していた経緯もある。現在はリーマンショック後とはいわないまでも、それに次ぐ大きなショック(※まだ名前がない)が到来したレベルのショック安水準となっており、ここからの下値が堅いことが証明された形であると理解している。そして海外勢も日本勢も、新年の投資方針は年末までに定めて臨んできているため、年初の動きが極めて重要であることはいうまでもない。
それでは新年1発目の今週のストラテジーへと移りたい。今週はズバリ買いでOKである!
パウエルFRB議長の金融引き締めの見直しともとれる発言、年末のトランプ・習近平の電話会談の良い流れを受けての、1月7日ーー8日に次官級の通商協議で、米中の貿易戦争にわかりやすい前進の兆しがみられること、そして前述した2つの事項に関して、今週は時間軸的に、ネガティブサプライズが出づらいことがその理由となる。特に米中の貿易戦争は、ここで話がこじれる可能性はない! と言い切りたい。そうでないと、また米中の株式は暴落し、それが景気後退を呼んでしまうからだ。また、テクニカルの項で後述しているが、ここにきての「裁定買い残」の一気の減少で、ここからの急落は極めて起こり難くなっていることもある。となれば、1月4日の急落が、当面の2番底であり、ここから株式は上を試しに行く、とみていいだろう。
この見立てで今週注目しなければならないのはもちろんマザーズ市場銘柄。そして貿易戦争の影響を受けづらいRPA関連、キャッスレス関連、子育て関連などから突発高となる銘柄が続出する可能性がある。読者諸兄におかれても、株式情報サイト「株探」などは銘柄選びの参考になるためチェックを欠かさないようにするべきだ。