「セイコーマート」(北海道札幌市)と聞いても、北海道以外の方はほとんどご存じないかも知れないが、北海道では「セブンーイレブン」などの大手御三家をも店舗数が上回り(1175店。今年8月末)、グループ年商は約1500億円という道内を代表する企業。他に茨城県85店舗、埼玉県にも13店舗ある。
そのセイコーマートと、長年に渡り取引していた「斎川商店」(茨城県桜川市)という米販売会社の関連会社との会社実印引渡請求事件の一審判決が9月2日札幌地裁でありセイコーマートは敗訴(下写真=判決文)。同社は控訴しなかったことから、すでに判決確定し、セイコーマートは占有していた会社実印を斎川商店側に引き渡している。
これだけみれば、単なる一民事事件に過ぎないかも知れないが、この判決、実は北海道を代表するセイコーマートの“終わりの始まり”と見る向きもある。
「セイコーマートは、そもそもは酒類問屋が得意先の小規模酒販売店の生き残り策としてコンビニエンス化したのが始まり。92年4月に1号店をオープンし急成長しました。その経緯から酒類はむろん、当初から生鮮食品も重点を置いて来た。大手コンビニと異なり、さらに強みなのは製造から物流、販売まで一貫してグループ内で行っていること。このため安売りも可能。新聞広告に安売りチラシを入れており、これも消費者の支持を得て北海道で最大手になれたんです」(地元事情通)
だが、光があれば必ず影もあるということか。
短期間に製造から物流、販売まで自前で出来るようになったのは、各種会社を“乗っ取って来た”からとの評がある。
「取引を始めると、やがてほとんどをセイコーマートだけに持って行く。するとセイコーマートとの決済が出来ないと取引相手会社は経営が成り立たなくなる。やがて実質、経営権を握り、その優越的地位を背景に取引価格を大幅にダンピングする。