アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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書籍『福田君を殺して何になる』を巡ってーー仮処分に加え、本訴もした光市母子殺害元少年側

 本紙でも3度報じている、山口県光市母子殺害事件の被告の元少年(28。死刑判決を受け上告中)の実名などを記した単行本『福田君を殺して何になる』(冒頭左写真)の出版につき、元少年側は、「事前に原稿チェック」の約束を破り、実名公表などしたとして出版禁止の仮処分申立を行っているが、並行して10月15日、著者の増田美智子氏と、「インシデンツ」名義の書籍コードで同書を出版した寺澤有氏に対し、出版の一時差し止め、1100万円の損倍賠償などを求め提訴したことがわかった(仮処分同様、提訴先は広島地裁)。(同右写真=「日経」11月3日記事)
これを契機に、仮処分の方の行方と、大手マスコミでは取材できていない寺澤氏に電話取材できたので、同氏の見解などについてお伝えする。
まずは仮処分の方だが、寺澤氏によれば、審尋は元少年側、そして元少年・出版側双方の2回行われているという。(横写真=「訴状」表紙)
 もっとも、それ以降は裁判所は書面提出だけでいいということで、したがって、3回目の審尋日は決まっていないという。
「裁判所は、これ以上はもう書面で十分だと思っているわけで、今週には決定が出るのではないでしょうか。
並行して福田君側が本訴をして来たのは、仮処分は認められない公算大と見たからでしょう」(前出・寺澤氏)
それにしても、なぜ、手澤氏はこれほど強気なのだろうか。
本紙でも前回、仮処分について触れ、その時点では、もっとも重要と思われる福田君の陳述書は出ていないと報じた。
だが、その後、福田君の「陳述書」が出され(1度目はワープロ打ちで、出版側の弁護士が勝手に作文し、福田君にサインだけさせた可能性があるとの出版側の主張に対し、その後、福田君直筆のものが出された)、そこには「事前に(原稿)確認を取らせて欲しい」と約束していた旨の主張が載っている。
これを見る限り、出版側は不利なようにも思えるのだが……。

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