政府、総務省は2011年7月を持って、地上波デジタル放送への完全移行を完了するとしている。つまり、この日を持ってアナログ放送は終わり、地デジ対応していない家庭ではテレビは視聴できなくなる。
その完全移行日まですでに1年半余りだが、総務省がこの11月に発表した最新の地デジ受信機の世帯普及率は69・5%とまだ3割以上が未設置なのだ。
しかし、それも無理はない。
「白黒からカラーテレビの時ならともかく、アナログからデジタルでは魅力がない。役所は画像の鮮明さを謳うが、この間の技術の発達でアナログでも画面は十分きれいなんだから。しかも、このデフレ不況。一般国民の多くは余分な出費には抵抗がある」(地デジ専門家)
そのため総務省は来年度、今年の2倍の307億円の地デジ関連予算を申請し、デジタルチェーナーの無料配布などで一気に普及を図る算段だったが、例の「事業仕分け」で「なぜ、税金で無償配布する必要があるのか!?」というもっともな異論が出て倍額は認められなかった。
こうしたなか、11年7月完全移行につき、すでに「延長論」の声が出て来ている。
そこで、改めてこの地デジ11年7月完全移行強行の理由について考えてみたい。
その点、総務官僚が主体になり、彼らの利権のために強行しているとの指摘は興味深い。それは『地デジ利権』(世川行介。現代書館。上写真)という著書に詳しいが、この利権遂行のための総本山といっていいのが「デジタル放送推進協会」(東京都港区。冒頭写真はその入居ビルと部屋入り口)という社団法人だという。
(以前、本紙ではこんな反対の見方も報じている=ココをクリックのこと)