アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書評>「日米防衛利権の構造――『憂国』と『腐敗』」(野田峯雄・田中稔。第三書館)

 防衛商社「山田洋行」と守屋武昌前防衛事務次官の贈収賄事件、その延長戦で弾けた“防衛フィクサー”秋山直紀被告の脱税事件を契機に、本書は執筆されている。
この手の書籍は、情報が限られることもあってか、事件の流れをおさらいしただけのものが多い。
だが、本書は違う。この事件の背後に見え隠れするさらなる巨大な疑惑にまで、深く切り込んでいる。
例えば、山田洋行の利権には久間章生元防衛相、いま「かんぽの宿」問題で疑惑が出ている西川善文元住友銀行頭取も深く関与していたと思われるが、その内容についても極めて具体的に記している。
さらには、ダグラス・グラマン事件以降、防衛利権に極めて強かった日商岩井(現・双日)の影響力が落ち、その空白期をぬって1980年代以降、前出の秋山被告がいかに力をつけて来たかも詳細にレポートしている。
その際、秋山が頼ったのが故・金丸信副総理(元防衛相)であり、金丸が防衛利権食い込みに利用したのが故・田村秀昭元空将(元参議院議員)。その田村の選挙資金を出したのが山田洋行で、金丸と山田洋行を結びつけたのは西川の前の頭取・巽外夫という具合だと本書は解説する。
かれこれ20年以上も、防衛利権を追っている超ベテランの2人の著者は、その太い人脈を駆使しての証言取り、入手した膨大な内部資料などを元に、「憂国」という名の下、この間、自衛隊制服組、政治屋、商社などの誰が防衛利権を食いものにして来たか、他にも多くの実名を次々と上げて疑惑を呈している。

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