埼玉県内に本社を置き、年商約300億円と近年どんどん売り上げを伸ばし、上場も視野に入れているという中堅建売業者A社に暴力団に対する利益供与疑惑が出ている。
今年6月、東京・新宿歌舞伎町に程近い百人町に14階建ての分譲ワンルームマンション(冒頭写真)がオープンした。
関係者の証言や不動産売買契約書などの関連資料によれば、A社はこの土地を12年8月に4億5500万円で購入し、その土地を担保に銀行融資を受け、前述のワンルームマンションを建設した。
しかし、この土地の適正価格は約9億円だったという。
では、なぜA社は4億5000万円近くも安く購入できたのか?
「この土地のすぐ横のマンションに住吉会系組事務所があった。しかも組事務所による看板などの公然とした掲示物もあったため、取引に当たっては物件説明書に重要事項として組事務所の存在を記載する必要があった。この土地の前の持ち主B社は、住民から訴訟が起きており、近く組事務所が追い出される可能性があることは知っていた。しかし、資金繰りの問題から判決が確定するまで待つ余裕がなかった。あくまで不確定要素だし。それで、そうしたマイマス面をA社に告げ、それを考慮した結果、それだけ安くなった。
ところが、実はA社は並行し、関係者を使い交渉しすぐ組事務所が出て行くことで話をつけた。そして、それをA社に秘して購入したんだ」(関係者)
確かに、3000万円の出費で、約4億5000万円“節約”できれば大きなプラスだ。
だが、こうした行為は暴力団排除条例(最高懲役1年)、また会社法(同3年)にも抵触し得る。