●情報公開請求で業者名さえ明かさない行政
まずは、東京都江東区が情報開示して来た2枚の文書をご覧いただきたい。同区におけるマンション工事で、基礎くいのボルトが欠損するなど、耐震強度に重大な支障を来たすこともあり得るにも拘わらず、虚偽の主張をして工事を強行しようとしたケースがあった。
通常、基礎くいは地中に埋まっているから発覚することはまずない。だが、このケースでは、住民側がボルトが欠損していることを示す証拠ビデオをたまたま撮影していた。そして、ついにはテレビ局も取材に動き、業者側は疑惑を認めたことから、江東区は建築基準法違反で刑事告訴した。そこで、住民側は江東区に情報開示を求めたのだが、告発の内容はもちろん、誰を告発したのかさえわからない、ご覧のようにすべて黒塗りで意味のない「一部開示」と称する回答文書が出て来たのだ(写真はその部)。
それにしても、こうした江東区の対応は余りに住民に対して誠意がないと言わざるを得ない。
当初は、証拠ビデオもあるにも拘わらずまったく取り合おうともせず、その事実がマスコミに出るや、「基礎くいを(一端上げて)打ち直した」との業者側主張を何の根拠もなく信じ、その後は業者側が「別の杭を打つといっているからいいじゃないか」と不問に伏し、今回、ようやく告発したと思ったら、今度は社名さえ明らかにしない有様だ。
刑事訴訟法上では、捜査に支障を来すからダメという場合もあるというのがその根拠のようだが、業者名まで伏せるとは、この間の経緯を思えば、その悪質さにも拘わらず、最後まで業者側を庇っていると思われても仕方ないだろう。
請求した住民側は、「異議申し立て」をする模様だ。
●被告発業者(?)社長も安部代議士と一緒に写真撮影