本紙が追及している、汚染規模、悪質さとも過去最大級といっていい、栃木県足利市の採石場(冒頭写真)への産廃不法投棄事件、関連訴訟につき、明日(11月24日)午後1時15分より、東京地裁631号法定にて一審判決が下される(平成20年ワ第24967号)。不法廃棄物の量は10?ダンプで1万台以上、かつ健康被害者が出ている(死者も)上、この事件の揉み消しのためと思われる複数の死亡者(行方不明者も含む)さえも出ているにも拘わらず、当局側との癒着関係から未だに放置されていると思わないわけにはいかない。
この間、健康被害者6名が栃木県を訴えた分(平成21年ワ45056号。東京地裁)と2件の民事訴訟が行われていた。明日判決が出るのは、産廃を不法投棄され汚染された採石場の持ち主である「富宇賀建材」など3名が、この採石場をかつて乗っ取っていた広域暴力団関係者の大塚英夫氏や栃木県など計7名を相手取り損害賠償を請求した件の方だ。(横写真=富宇賀氏が作成し、配布したチラシより。診断書は、いずれも産廃との関係を否定していない)
栃木県が含まれているせいか、提訴当初から、裁判官は被告側寄りの発言を露骨にしており、原告側の請求が全面却下されるとの見方が圧倒的だ。
だが、なぜか原告側に絶望感は見られない。その理由の一つに、この間、栃木県側から興味深い資料(横写真)が証拠として提出されていた件があるようだ。
05年3月1日、栃木県足利署などは、当時、問題の採石場を乗っ取られていた「富宇賀建材」の富宇賀利行社長の訴えにより、現場検証を行った。それに関する県の資料だ。
これを見ると、問題はなかったということになっている。だが、富宇賀氏はこう証言する。
「彼等は地下15M以上の深いところに埋めているので、この程度の掘削(4・1~9・8M)ではわからないのは無理ありません。しかし、それでも掘削した7箇所の内、2箇所につき、右側に(若干腐敗臭のする部分が認められた)、(コンクリートがらが一部認められた)との記述があります。不法投棄がないと腐敗臭はしません。また、コンクリートがらそのものが不法投棄物なんです。したがって、本文では問題ないとしながら、その一方で、不法投棄を裏づけることも記しており、本来、あり得ない文書なんです。
県としては不法投棄の事実を知りながら、しかし癒着関係から黙認して来た。その後ろめたさが、こんな曖昧な文書を書かせたようで、裁判官がこの矛盾に気づき、予断のない判決を下すなら、こちらにいい結果が出ないとおかしいのですが……」
では、富宇賀氏に絶望感が見られないもっとも大きな理由とは何なのか?
これに関しては、現状、諸事情から述べられない。ただし、代わりに、ある客観的な事実のみをお伝えしておく。
実はこの足利市産廃不法投棄事件の現場で起きていた重大な事実は、産廃の不法投棄だけではなかった。