本紙がウォッチし続けている投資ファンド「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)」(本社=タイ・バンコク。此下益司会長=冒頭右写真)を巡る疑惑ーーこのAPFの国内関連会社や傘下の東証2部のゴム関連老舗メーカー「昭和ホールディングス(旧昭和ゴム)」(千葉県柏市。此下竜矢CEO=冒頭左写真)に対し、証券取引等監視委員会が架空増資の疑いで強制調査に入り、近く処分が下るとの見方もあるなか、昭和ホールディングスは12月3日、12月8日と“反撃”に出た。
まず12月3日、昭和ホールディングスは架空増資疑惑の11億円(昭和ゴムの第3者割当増資資金12億4500万円中、実に11億円がAPF関連会社のCP購入に使われた)を含む27億円を償還するとIRした。
そして12月8日には、架空増資の疑いなどないのに、この調査をされ、信用失墜等の不利益を被っているとして証券取引等監視委員会に対し行政訴訟を提起するとIRしたのだ。
これだけ見れば、読者のなかには、ここまでやる以上、APFは昭和ゴムを食い物にしていないのではないかと思われる方もいるかも知れない。
だが、本紙の元には、この2つのIRに対し当局側が激怒しているとの情報が伝わってき来ている。
何しろ、年明けにもいよいよ具体的な処分が下るとして、大手マスコミもAPFの取材に動き出しているのは紛れもない事実だ。
そして、APF関係者はこう証言する。
「まず、全額償還の件ですが、これは来年3月末が償還期限で、その時に償還すると当たり前のことを言っているに過ぎない。なぜ、こんなことをいま、しかも昭和ホールディングスのIRで言わなければならないのか? それは取引先の疑惑の目を少しでもかわすためしか考えられません」
しかも、このIRは逆効果だという。
「IRをよく見ると、一旦全額償還するが、改めて余資活用するとしている。要するに、またすぐ昭和ホールディングス側の資金をAPFが使うつもり。架空増資疑惑を持たれた以上、全額返済したら再度、余資活動などに使わないと誓わない限り、疑惑は払拭されないんですけどね」
しかも、このIRには利子として昭和ホールディングスには今年11月末までに計3億3300万円支払われているような記述がされているが、昭和ホールディングス関係者はこう証言する。