アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

ニューディールの増資を引き受けた元大蔵官僚

●オンボロ上場企業を延命させる増資“錬金術” 「ニューディール」というマザーズ上場企業がある。 社長が暴力事件で逮捕されたり、現在まで黒字になったことがないばかりか、年間売上高が最高でも約4億円と中小企業並で、決算書に「継続企業の前提に疑義あり」とまで書かれている上場が廃止されても少しもおかしくない企業だ。社員数11名、株価は今年5月にはたったの6円だった。 だが、マザーズ上場第1号(旧・リキッドオーディオ・ジャパン)であることから旧大蔵官僚を始め証券市場関係者が面子にかけて潰せないこと、それに同社も、今流行りのオンボロ上場企業の増資を利用した“錬金術”で延命して来たことは、多少とも証券市場を知る者なら誰でも周知の事実だ。 その“錬金術”とは、簡単にいえば、次々と増資を行い、その資金で経費や赤字の穴埋めを図るというもの。会社存続の唯一の意味は、増資を公募で行える点のみとなっている。 もっとも、本来は増資に投資家が応じてくれるのは事業に将来の可能性あったのことで、それが何度も裏切られれば市場から見向きされなくなるはず。だが近年、増資に応じるのは匿名組合など正体不明のところが多く、彼らは素人投資家にこの株は上がると言葉巧みに誘い、自分たちの引き受けた株を高値で売り逃げする。すると、当然ながら株価は上がっていく。それを見た素人投資家がさらに群がる。否、素人投資家もその“作られた株価”については気づいているが、一種の仕手戦と考え、自分だけは売り逃げできると手を出す。その結果、未だに延命しているというわけだ。 近年では、いま地検が捜査している大盛興業、ジェイ・ブリッジ、ゼクー、東天紅、丸石自転車、メディア・リンクス、サンライズ・テクノロジー(旧プライムシステム)、千年の杜(旧・キーイングホーム)、南野建設など皆そうだ。そして、これら増資の多くの背後には広域暴力団関係者の資金の流れが見え隠れする。 ●大蔵省接待スキャンダルで辞任した元東京税関長 さて、話をニューディールに戻そう。 同社のホームページを見ればわかることだが、9月13日、新株予約権付き株式を特定の第3者に引き受けてもらうと発表した。これにより、同社には約10億円の資金が入る計算になる。そして、その第3者とは「紀尾井町T20M再生事業投資事業組合」で、その代表者は田谷廣明氏。そう、大蔵官僚接待スキャンダルで96年、中島義雄元主計局次長と共に大蔵省を追われた元キャリアだ。 その後、事務所を開き、投資顧問業的なことをやっているとは聞いていたが、よりによって闇勢力が見え隠れするニューディールの増資引き受け先に堂々名前を出して来るとは……。 そして、この増資決定と並行し、株価は80円台から140円台にまで上昇している。  左に掲げたのは、その田谷氏が引き受け分(1200万株)の内、80万株を売るべく持ち歩いている際の文書の一部。 「もちろん、田谷に自己資金があるわけがなく、組合を隠れ蓑に、実際にカネを出すのは仕手筋や怪しげな金融ブローカーの連中だ。だが、腐っても元大蔵官僚が代表に就いているとなれば一般投資家の信用も得られる」(投資を進められた人物) 文書には、ニューディールは180円から200円まで上がると書いているが、もちろん、そんな保証はどこにもない。 しかし、この80万株(一株83円)の売買で組合には240万円の手数料が入る。それに、前述したように同社株は上がると煽り、少しづつ高値で売却していけばかなりの売買益を資金元と共に分け合えるのだ。…

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