■プロフィール 株歴16年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015年に一時、一億円越えとなるも現在は漸減中。投資に必要なのは1に「需給」、2に「ファンダ」だと考えており、できるだけ負けない投資を心がけている。
≪先週の相場展望の振り返りと今週の見通し≫
10月13日午前11時に発表された、9月中国貿易収支は大きな波乱を呼んだ。9月の中国のドル建て輸出は、前年同月比10%減で(コンセンサス-3%)を大幅に下回るとともに、9月の輸入も1.9%減(コンセンサス+1%)に反し減少した。
貿易収支は、相手国がある関係で操作ができにくい指標で、中国の実体経済を如実に表すといわれる。輸入に関しては先月1.5%増と反転の兆しがあっただけに「やっぱり景気悪化でハードランディングなの!?」という突っ込みがでて当然だろう。同日、日本市場も日経平均が17,000円回復まであと少しのところまでいったにもかかわらず、この指標がでて200円も下がった格好だ。今後、アメリカの利上げとなると新興国である中国の資産流出が際立つ展開が予想されるので、今週19日(水)11時に発表予定の中国7-9月のGDPには気を配りたい。また、中国のメガバンクの決算があるのでこちらも要チェックだろう。
さて今週の相場見通しであるが、米国決算が本格化してくるなかで、事前予想である米国7-9月EPS前年比-0.7%減益予想を上回れるかどうか? また、10-12月度、約8%の増益予想(※エネルギー関連企業の業績回復が顕著)を上回る見通しを叩き出せるかが焦点になる。2017年度は13.5%もの増益予想といわれているので、決算を受けて見通しどおりの業績回復が見込めるならば、現在割高だと喧伝されるアメリカのPERも正当化される。
また今後の相場見通しとしても、11月8日に控えた米国大統領選での、ヒラリー・クリントン氏の勝利を徐々に織り込んでくる展開が本命だろう。ただヒラリーが勝ち、議会選挙でも上下両院で民主党が過半数をとった場合は、最低賃金の大幅引き上げ(10ドル以下→15ドルと公約)が推進される可能性があり、相場にはニュートラルだと思われる。20日午前には米大統領選挙の第3回テレビ討論会も開かれるので、為替動向(ドル安志向の両者である)にも気を配りたい。
さて、日本の相場見通しに移りたい。20日の安川電機から本格化する7-9月決算については円高での業績悪化懸念は織り込み済みか。それよりも2017年度、1ドル100円をベースにして経常、純利益で10%の伸びが見込まれている事実が現実のものとなるかが焦点だろう。現在のコンセンサスは16年度が7.7%の増益、17年度は7.8%の増益予想である。
とはいっても相場の上値は限られそう。相変わらず、東証の出来高は振るわないままで推移しており、早く売買代金2兆円突破が待たれる。そうなれば10月11日の高値17,074円、さらには9月5日の17,156円、5月31日の17,251円、4月25日の17,613円が見えてくる。
≪今週の注目イベント≫