「宮越ホールディングス」(6620。東京都大田区)という東証1部上場会社がある。
中堅の音響機器メーカーだった「クラウン」が発祥で、元代表取締役の佐久間繁晴氏が設立。同社は60年に株式公開する。
しかし、経営不振から大手スーパーだったダイエー傘下に。だが、ダイエーは再建できず持ち株を手放す。その株を買い取ったのが、現・宮越ホールディングス会長兼社長の宮越邦正氏(74)。83年7月のことだ。
以来、金融業などを行っていた「クラウンユーナイテッド」(現在宮越HDの株式約23%保有)の代表取締役である宮越氏が実質、経営権を掌握。
11年11月には単独株式移転により、持ち株会社である宮越HDが東証1部に上場。クラウンは連結子会社になっている。
もっとも、いまや同社の業績は見る影もない。
クラウンが上場していた91年度、同社は年商約958億円、経常利益57億円だった。だが、現在、家電の販売から撤退しており、唯一の事業はかつて家電工場があった中国の跡地などの不動産賃貸収入といってよく、16年3月の売上高は13億6500万円、経常利益3億8200万円に過ぎない。
また、宮越HD本社はかつて実質、自社ビルだった(前出・クラウンユーナイテッドが所有していた)が、税金滞納などの挙げ句、99年に「大京」所有となり、以来、賃借しているかっこうだ。
同じく宮越一族が社長の別会社が所有、宮越邦彦氏の自宅とされる大田区山王4丁目の豪邸(冒頭写真)の方も、本社ビル売却とほぼ同時期、こちらは競売により第三者の所有になっている。
ところが、ここに来て、こちらは実はダミー会社を使って実質、買い戻していた疑惑が出て来ているのだ。