アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「船井電機」破産決定取り消し却下などで判明した、事件屋らの乗っ取り手口

年末年始休みがあったため、報告が遅くなってしまったが、「船井電機」の破産手続きの取り消しを、原田義昭・船井電機代表取締役会長(冒頭右写真。元環境相。弁護士)が求めていた即時抗告につき、12月26日、東京高裁(三角比呂裁判長)は却下する決定を出したことは大手マスコミ既報の通り。
その簡単な大手マスコミの報道を見ると、読者は、原田会長が主張していた「船井電機は債務超過でも、支払い不能でもない」旨の内容を検討した結果での却下と思うかも知れない。しかし、その場合なら「棄却」で、「却下」というのは門前払いを意味する。
なぜか?
一言でいえば、驚くなかれ、そもそも原田氏は自分は船井電機の会長というが、9月27日の船井電機の臨時株主総会で選ばれたことになっているが、それに疑義があり、だから申立ての資格がないというわけだ。
これは、「朝日」が昨年12月28日、「総会議事録に架空記載 船井電機、欠席者を『出席』 東京高裁『後日作成の疑い』」とのタイトルで、詳細に報じたことで判明。翌29日に「共同」、30日に「産経」(大阪版)が簡単な後追い記事を出している。
詳細は朝日記事をご覧いただきたいが、同記事によれば、9月27日の株主総会は船井電機の本社(大阪府大東市)で午前10時から取締役9人全員が集まり、原田氏は満場一致で選ばれたことになっているが、その会議室に予約は入ってないし、複数の取締役が出席していないというのだ。
そこで思い出されるのが、原田会長は、船井秀彦氏が10月24日に船井電機につき準自己破産申立てしたが、すでに取締役を解任されていたから、そもそも申立てする資格がないとも主張していた事実。
 高裁は船井氏が解任されたとする10月15日の株主総会の議事録も検討し、「(議事録が)不自然であることは明らか」、「後日、日付をさかのぼらせて作成された疑いがある」とも述べているという。また、「産経」は、「議事録の印影が、法務局に届けられたものと一致しない」とも報じている。
なお、横に掲げたのは船井電機法人登記簿の役員欄。船井氏は繰り返すが10月24日に準自己破産申立てした。確かに登記上はその前の10月15日に解任となっているが、それを申請したのは1カ月も後の11月14日だ。また、同日に原田会長、古寺誠一朗古寺真浄両氏の兄弟も、こちらは1カ月半も後に船井電機取締役に就任登記されている。当然、原田氏の取締役就任が疑義なら、それは古寺兄弟も同様だ。
こうなると、原田氏は船井電機の民事再生を12月2日に東京地裁に申請しているが、こちらも「申立てる立場にない」で却下される可能性が高いのではないか。
しかも、議事録偽造は私文書偽造、法務局での役員変更届け出は公正証書原本不実記載・同行使といった刑事罰にも抵触し得る。
もっとも、いくら何でも元衆議院議員(当選8回)で弁護士の原田氏が、自ら、晩年を汚す(現在80歳)そんな不法行為をするとは考えにくい。
そこで注目されるのが、原田氏と一緒に9月27日の株主総会で、船井電機の取締役に選ばれたとする古寺兄弟だ(冒頭左写真は兄の古寺誠一朗氏)。
本紙はある内部資料を入手している。

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