プロフィール 投資歴26年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は、38,643円【-2.17%】と前稿比-857円(※前項比+1446→ +140→ ▲1068→ ▲624→ +970→ ▲1194→ +2107→ +1142→ +190→ ▲2257→ +284→ +364→ +3038)となった。※2024年8月5日先物30,380円あり。
その後、米国時間を経て日経平均先物価格は一時37,780円まで軟調になる局面があり、引け値は38,040円と、トランプ大統領当選前を下抜けて、ハリス氏有利となった局面の株価まで下がって引けている。
ドル建て日経平均の終値は247.3 ドル【-4.3%】(※前稿258.4→249.5→249.9→ 260.1→ 266.3ドル)となっており、先週は多少円安パワーに助けられたことがわかる。それでこれだ。日経平均株価は、かなりの弱さだったというわけだ。
NYダウは、週間で-550ドル安となる43,445ドル(※前稿比+1937→ ▲62→▲1162→ +412→ +511→ +40→ +250→ +669→ +1049→ ▲1218→ +388→ +515→ +1162)。※11月11日の44,487ドルが本年最高値。
ナスダック100は20,394Pと、前稿比-724P安(※前稿比+1085→ ▲319→ +28→ +53→ +236→ +27→ +217→ +277→ +1093→ ▲1154→ ▲145→ +212→ +995→ +72→ ▲582)。※11月11日21,182Pが本年最高値。
まず先週の11月15日AM5:00、米国小売売上高がよい数値だったことを確認した後の講演会で、FRBのパウエル議長は「インフレが目標に近づき(※ジワジワ高くなっているように思えるが…)、経済が堅調ならば利下げは急がない」と発言した。この結果、FEDウオッチをみるに、12月18日FOMCでの利下げ織り込み期待である0.25bpは、61.9%の確率まで下がってしまった。そして驚くことに、2025年度いっぱいにかけてもあと2回(0.5bp)の利下げ予想となってしまったのだ。
これを受けて米国市場では、高値警戒感もあっただろうが利下げショックが起こり、SOX(半導体指数)を中心に久しぶりの本格下落となり、筆者などは土曜の朝からすこぶる気分が悪い。また利下げ期待(回数)が減ったうんぬんも重要だが、次のFOMCで利下げするのかどうなのか? その方向性が70%以上ないと市場での織り込み不十分となり株式市場は不安定な動きになってしまうので、ブラックアウト期間が始まる12月7日(土)までに、パウエル議長は市場とのコミュニケーションを頑張ってほしいものだ。
いきなり愚痴っぽく始まった本稿だが、トランプ政権2期目(11月6日~)はまるで高揚感がない相場付きなので仕方ないだろう。日経平均株価は、米国のナスダック指数の5日連続陰線の煽りを喰らってか? 寄り天ばかりの相場が続き、気が滅入っていたところで、先週土曜日朝の日経平均先物の終値(-600円ライン)を見てしまうと、もうトランプ大統領返り咲きとトリプルレッド決定で沸いた株式相場はまったくなく、大統領選挙直前の「やっぱりハリス氏と接戦なんじゃないの?」とどうなるかわからず不安感が増していたあたりまで押し戻されている。
恐らくその理由は高値警戒感もあるだろうが、地合いの悪いところで行われているトランプ人事(組閣)に問題があるのだろう。2016年の第一期政権時は、共和党内にマコネル上院議員など、トランプ氏にしっかりもの申す存在が散見されたが、今回はトランプ氏が好きなように人事を決めているようで、その結果、自分のお友達を主要閣僚に据える、世間一般的には迎合しがたい人事が発表されている。これはもちろん議会で承認を取らなければならないものなので、そこまでメチャメチャなことにはならないはずだが、既成事実化をしようとしているのだろうか? 株式市場は、トランプさんが司法長官に、17歳の少女に金銭を渡しわいせつ行為をした疑惑がある人物を登用しようとしているのをみて、この国はどうなるのか? と困惑しているようだ。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。
基本的に11月のサンクスギビングの感謝祭(28日)を終えたあたりから(※本来11月も強いのだが)翌年の1月末までは、毎年、株式市場が高揚するアノマリーがある。これは年度内最後のヘッジファンドの決算が終わることが関係していそうであるが、強いアノマリーだ。
例年なら筆者も、この時期から強気に買ってでるのだが。今回は「命大事に」の選択をする予定だ。
というのも、先週の土曜日の朝の時点で、ドル建て日経平均株価は247.3ドルと、頼みの綱であった200日移動平均線の254ドルを明確に下回ってしまった。日経平均株価と相関性が極めて高い米国SOX指数も足元4,834Pと、日経平均株価と同様に200日線である5,015Pを力強く下回っている。よってまずは200日線を回復するパワーをこの目でみないことには、とてもではないがここで資金を投下する気持ちにはなれない。
ただ、いまだTOPIXに関しては終値2,712Pで、下に25日線2691P、75日線2652P、200日線2697Pが控えており、特に75日線は確実に機能しているが、これは日銀による利上げを期待する「金融業パワー」なのだろうか。筆者もこのセクターだけはストロングバイだと考えている。