プロフィール 投資歴25年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価の終値は38,815円と、前稿比+134円(※前項+196→ ▲158→ ▲141→ +558→ ▲7→ +301→ +867→ ▲2456→ +532→ ▲1377→ ▲519→ +2181→ ▲982→ ▲222→ +812→ +612→ +1590→ +739→ +407→ ▲212→ +386→ +2200→ +208→ +198(2023年12月4週))となった。
その後なぜか、フランスのEU離脱問題に日本だけが反応して? 日経平均先物は38,460円まで下がって引けている。※本年高値は3月22日の41,088円。
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NYダウは、週間で-210ドル安となる38,589ドル(※前稿比+113→▲384→▲933→+491→+837→+436→+254→+3→▲921→▲1465→+893→+762→▲9→▲364→▲45→+504→▲44→+18→+545→+245→+271→+127→+80→+81)。本年最高値は5月21日の40,077ドル。
ナスダック100は19,660Pと、前稿比+659P高(※前稿比+464→+271→+262→+385→+271→+172→+681→▲966→▲105→▲146→▲85→+531→▲210→▲285→+365→+252→▲276→+319→+222→+107→+481→+527→▲471→+154)。史上最高値更新中。
2023年の高値は11月22日の高値16,212P。
先週は水曜日に「米国5月CPI」が発表されるとその結果は、住宅費を除いた「スーパーコア」で前月比-0.04%となり、2021年9月以来の〝前月比マイナス〟となった。まだ予断は許さないものの、とうとうインフレの終焉を感じさせるイベントとなった、といえよう。
その後のFOMCでは、このインフレの冷え込みを反映できていない中で発表がなされたのか!? FRBは2024年に1回(※前回3月時点では3回)、2025年に4回(※前回3月時点では3回)、2026年にも4回の利下げ予想をしている。これ以降のロンガーランは2.75%ぐらいだろうか。
この結果、米国市場の水曜日から米国債金利は一気に下がり(米国債価格は上昇)、週明けの火曜日に「IS米国債20年ヘッジ」(2621)を購入した筆者は、溜飲を下げることができた。
しかし、現在の米国2年債の利回りは、まだ4.7%程度あるのが、非常に奇異に感じる。前述したとおり2026年6月までに、政策金利は7回程度引き下げられる予想であり、幅は1.75%程度(0.25%×7回)である。そうなると、米国2年債金利は、3.5%にもう少し近い水準でないと間尺に合わないのだが。
それはさておいたとしても、この金利低下は、株式にとっては最高のご馳走になっているようだ。まずその恩恵を最も受ける「SOX指数」や、「ナスダック100指数」は、年初来高値を更新し続けている。
ただ、直近は特に違和感を覚える上昇となっていることは、市場関係者なら理解していただけるだろう。極端に偏った、一部の銘柄だけに支えられた指数の上昇になっているからだ。
ナスダック指数は、先週の木曜日に構成銘柄の69%が下がりながらも+0.34%の上昇となり、金曜日は63%の銘柄が値下がりしつつも、指数は+0.12%の上昇となっている。これはSOX指数でも似たような傾向になっているが、ようするにごく一部の生成AI関連の大型株だけが上がって、指数を押し上げている。極端に言うならば、「NVDA(エヌビディア)」株だけが、毎日のように上昇して指数を押し上げているだけなのだ。そして、この生成AIという世紀の大発明を成し遂げた「NVDA(エヌビディア)」だけの上昇だったら、強烈な違和感を抱かないだろう。
これはおかしいと、筆者が強烈に感じたのは、火曜日の夜「APPLE」社の株価を見てのこと。水曜日にかけて193ドル→ 212ドルと、この世界最大級の大型株であるアップル社が2日で+10%も上昇してしまったのだ。株価を押し上げた材料は「オープンAIと提携して生成AI携帯を出す」ことだそうだ。それは確かに素晴らしい材料で、新しもの好きなマニア層はこの材料でアイフォーンの最新機種を買うだろうから、当然株価にはプラスだ。
ただほとんどの一般人層は、質問におおざっぱに答えてくれるだけの生成AI機能が搭載された携帯電話が出たからといって購入するだろうか!? だいたい技術料が加算されるだろうから、かなり割高の価格設定になるだろう。
ようするに、もう新規に材料が見い出せないので、無理やり新しいニュースに資金が飛び乗っている感が否めない。米国のS&P500指数や、ナスダック100指数、SOX指数などの株式市場はバブルになっており、筆者はウォーレン・バフェット氏が言うような「波が引いた時に初めて誰が裸で泳いでいたか分かる」の状態になっていると感じている。
幸いにも日経平均、TOPIX、NYダウなどは逆に、煮詰まったコーヒーのようなチャートになってきており、こういうチャート形状は、えてしてここから動いた方向に大きく傾いてしまう傾向にある。
ちなみに日経平均は、25日線が38,724円、75日線は39,016円なので、日経平均の先物を見る限り、週明けにデンジャーサインが出るといえる。NYダウも、似通ったチャート形状になっており、週末金曜日には先んじてデンジャーサインが発令されている。
ただ、TOPIXの75日線が2,729pに走っているため、筆者はこの数値を下回った場合に、日経平均先物の売り玉を保有する予定としたい。