昨日の「毎日新聞」朝刊のオピニオン欄で、東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)の番組「ニュース女子」が昨年1月2日放送分で取り上げた沖縄県米軍基地反対運動につき、放送倫理・番組向上機構(BPO)が重大な放送倫理違反があったと認定したにも拘わらず、未だこの「ニュース女子」の放送を継続するテレビ局が9局あることを問題視する記事が出ている。
この件は、電波法上の放送免許を得て公共電波を使用している放送局が、安易に「持ち込み番組」に依存していいのかという問題でもある。本紙既報の「営業枠」という番組の構造的問題ともリンクする。
要するに、放送局にすれば、番組を作る必要もなく、ただ外部から持ち込まれる番組を流してやるだけで電波料がガッポリ入るから美味しい。一種の麻薬のようなもので、これに溺れ、公共放送の役割を放棄してもいいのかというわけだ。
「持ち込み番組」がすべて悪いというわけではないだろう。だが、今回問題になっている「ニュース女子」の件でいえば、MXの番組枠を買い取っていたのは実質、大手化粧品会社「DHC」(東京都港区)の創業者で代表取締役である吉田嘉明氏であり、その吉田氏が偏向した考えを持つ御仁だったことから、その意が反映され、沖縄の基地反対運動参加者は日当をもらって「テロリストみたい」にやっており、その「黒幕」は辛淑玉氏と名指しするとんでもない内容になってしまったわけだ。
同記事によれば、MXの年間売上高(16年度)の実に11・5%をDHCが占め、最大の取引先だったという。本来はいくら「持ち込み番組」とはいえ、放送局側が最低限のチェックをしなければならないが、このためノーチェックとなったようだ。
それでも、今回のBPO認定を受け、MXは制作主体を自社に移したい意向をDHC側に申し入れたが合意に至らなかったことから、今年3月で「ニュース女子」を流さないことにした。
ところが、同じようにこの「ニュース女子」をカネをもらって流していた18局(MXも含む)中9局(上写真「毎日」記事の黄色カコミ内に9局社名あり)が、この3月以降も継続しているという。
「毎日」取材によれば、継続している局のなかには、BPOの意見は沖縄問題を扱った番組分についてで、「ニュース女子」の番組すベてが問題であるわけではないのだから旨の回答もあったという。
しかしながら、DHCのこの番組制作子会社「DHCシアター」は、BPOの意見を受け入れるどころか、逆に「言論弾圧」との見解をHPに出しており(上写真=その一部)、反省の姿勢はまったくない(DHCシアターの代表取締役会長も吉田氏)。