プロフィール 投資歴24年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は27,004円と、前稿比+156円(※前項比+12→ +107→ ▲680→ ▲484→ +1323→ +1664→ ▲822→ ▲491→ ▲646→ ▲574→ +256→ +440→ ▲805→ ▲602→ ▲355→ ▲313円)の2週連続プラスだったが、この事実が信じられないくらいに相場は荒ぶった。日経平均CFDをみると26,810円まで下げて週を終えている。
プライム(東証1部全体)の週末金曜日の終値は、1,916Pと週間で+17P高(※前稿▲6→ 5→ 1→ ▲47→ ▲37→ 72→ 109→ ▲45→ ▲31→ ▲48→ ▲38→ 32→ 57→ ▲51→ ▲51→ ▲18→ 4)。アフターコロナ関連を中心にここだけはしっかり。
米国のNYダウは、週間で-78ドル安となる、32,899ドル(※前稿比▲834→▲640→270→▲43→▲97→106→1811→▲670→▲445→▲20→▲659→▲352→365→460→▲1647→▲320→▲106)だった。
ナスダック指数は、週間で-190P安の12,145P。先週も▲504だった。この指数は毎週のように下げ続ける。昨年11月22日の高値(16,212ポイント)比の下落率は24%に達する。
さて、日本のGW中に米国FOMCが発表されたので簡単にまとめておく。FOMC前のFedウォッチでは、5月の利上げ幅は0.75%の利上げが87.1%の確率で、0.5%の利上げは12.9%であった。それにもかかわらずFEDは0.5%の利上げを選択し、パウエル議長は「0.75%の利上げは積極的に検討していない」と言ったため、一時的な株価の大暴騰(ショートスクイーズ)を生んだ。ただこれは大イベント前に溜まっていたショートポジションの逆回転だったため、その後相場は沈没している。パウエル議長には直近、米国GDP1Qが-1.4%で着地したショックが残っていたのか!?(※コンセンサスは+1%)
気がかりなのは、FRBのパウエル議長よりも、市場のほうがもはや圧倒的にタカ派であること。代表的なコメントとしては、元IMFのチーフエコノミストのロゴフ氏による、「このインフレを抑制するには短期金利が4~5%でないと、インフレ率を2.5%~3%にまで引き下げるのは困難」がある。現在の市場関係者のFF金利予想は2023年に3.4%くらいがコンセンサスである。ところがパウエル氏は、中立金利である2.5%程度まで引き上げ以降は、引き締めペースを弱める考えを示した。
FEDの信頼が損なわれるような事態になると、また相場は疑心暗鬼を呼び、不透明感をもっとも嫌う市場は下落の足を速めていくのが通例である。いまはたいへん危険な状況だと捉えたい。また米国のQTについてパウエル議長は、「どれほどの影響を及ぼすのかはっきりいってわからない」となんとも情けない発言があった…。
QTなら、我々投資家のほうがもはやわかっているともいえる。2017年10月に開始されたQTは、当初は月間100億ドル程度だったが、2018年秋に入ると月間500億ドル(国債300億ドル、MBS200億ドル)規模まで膨らみだし、その結果2018年の10月すぎから株価は下げ足を速めるようになり、年末に大きめのクラッシュとなった。
日経平均のチャートを貼っておくが、当時は初めてのQTだったからか情報がいきわたらず、下げている理由は皆目不明であり、筆者は恐怖に怯えた記憶が鮮明にある。
そして、今回の6月1日から始まるQTは、月間300億ドルスタートである。これが9月1日からは月間600億ドルに増額されるというから、景気の状況に左右されるだろうが7月くらいからは、当時の株式恐慌の再来がやってくるといったところだろうか。
さて、株式市場はこのまま軟調推移で崩れていくだけなのか? はたまたナスダックとマザーズを中心に切り返す可能性があるのか!?
今週のストラテジーへと移りたい。
筆者が注目しているのは、ただただ1つ、インフレ動向である。この問題が落ち着けば、現在の好景気がしばらく続く蓋然性が高まり、利上げに関してもパウエル議長のおっしゃる通り控えめなもので良くなる。
現状の雰囲気は、米国の「期待インフレ率」を見るとおおまかに分かるが、ロシア・ウクライナ戦争で全体的に、3月から高騰を開始していたものの5月に入ってようやく2.86%と横ばい推移になってきている感がある。とはいってもここまでの最高値は4月21日の3.02であるため予断は許さないが、横ばいになっているのは好印象だ。