プロフィール 投資歴22年、兼業投資家。投資で勝つために必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」を読む力、3に「ファンダメンタルズ分析」だと考えている。安定した資産形成を促すことを心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は26,476円と、前稿比-646円(※前項▲574→ +256→ +440→ ▲805→ ▲602→ ▲355→ ▲313円)の反落となった。
先週は24日、ロシアがウクライナに攻め込むという、人道的に残念な展開となり、これが世界的な大混乱を呼んで世界株式全部が年初来安値となる激しいリスクオフとなった。しかし25日AM3:30から、米国・バイデン大統領が緊急演説を開始すると、ロシアに対する経済制裁のレベルは予想を超えるどころか弱腰で、かつ米軍もウクライナに派兵しないことが示されたため、市場はまだロシア軍がウクライナ首都・キエフを脅かす位置まで到達していないにもかかわらず一気のリスクオンとなった。週末の金曜日の夜ともなると、ロシア軍も首都・キエフ近辺まで押し寄せるまでに至ったが、ロシア・ウクライナ間で停戦協議の話が出始め、米国市場は2日連続の上昇となった。この結果日経平均CFDも26,968円と+492円高まで上げ堅調に引けている。
TOPIX(東証1部全体)の週末金曜日の終値は、1,876Pと週間で-48P安(※前稿▲38→ +32→ +57→ ▲51→ ▲51→ ▲18→ +4)。
そしてNYダウは、週間で-20ドル安となる34,059ドル(※前稿▲659→ ▲352→ +365→ +460→ ▲1647→ ▲320→ ▲106)まで戻っている。ナスダック指数に至っては、週間で+148ドル高となる13,694ドルとなった。
まず、先週木曜日AM3:45から始まったバイデン大統領の演説から記したい。結果としては、ロシアに対する米国の経済制裁に原油や天然ガス、アルミなどの禁輸がなかったこと、またロシアのこの侵略戦争を傍観する姿勢を出したことで、相場的には大きな反発の起点になったので個人的には感謝している。当初、この会見の開始時刻はAM2:30であり、それが遅れてAM3:30に延期され、挙句の果てに実際の開始はAM3:45くらいであっただろうか。バイデン氏に対するイライラが相当溜まったが、筆者の資産は彼の発言で守られた形になった。
しかし、演説の内容(中身がない)もさることながら、キャラメルでも舐めながら演説しているような発声であり、しかもこの重大事に至って笑っているかのような表情も見受けられ、相当に印象が悪い大統領会見であった。これはさすがに、このお爺ちゃん臭では米国民も支持できないだろう。しかし、そのおかげもあり、バイデン大統領が喋りだすと株価指数は下がっていき、筆者はこれが反転しだしたタイミングで確信をもってマザーズ先物と日経平均先物をかなり購入することができたので本当に大感謝している。
また、バイデン大統領のことばかりも批判できない。筆者は前稿で、ロシアがウクライナに攻め込む可能性はありえないと決めつけていた。筆者が、この侵略戦争の確信に至ったのも、24日米国発で「夜明けまでにウクライナに攻め込むと断言」という報道があったからであった。2014年にクリミア併合という同じような事態があったこと、2021年末からロシアはウクライナのNATO加盟を防ごうと様々な工作情報がでていたことを見逃していた。この不明に関しては、読者に伏してお詫びをしたい。ただ、結果的には早期、相場反転の結果につながった事実もあるので、今後のさらなる精進に免じてご容赦いただければ幸いです。とにかくウクライナは、「紛争当事国はNATOに参加できない」ということとなり、ロシアの野望は果たされたことになる。
さてどこまで相場は戻るか? 今週のストラテジーへと移りたい。
日曜日に、SWIFT(銀行間の国際決済ネットワーク)からロシアを排除する形での追加経済制裁が決まった。これは市場にはバッドサプライズだろう。すでにサンデーダウは横画像の通り下がってきている。
これで銀行業、商社などは不透明感から株価に大きなダメージを与える可能性がある。ロシアは原油・天然ガスなどで国際的な商いがやりづらくなり大きな経済制裁となる反面、これで世界もさらなるインフレが加速することとなり痛み分けのような制裁だ。ただ、この実行力がどれほどのものなのかは市場に聞いてみないと分からない。そもそも原油・天然ガスの代替品はないため、ドイツはどうするつもりなのか? 週明けの原油、天然ガスの市場価格は特に要注目だ。
もう1つ。FRBは25日、金融政策報告で事実上の金利引き上げ宣告をしている。ロシアがウクライナに攻め込む前日の23日までの情報をもとに報告書を作成しているものの、これで3月2日AM0:00「パウエル議会証言」の地ならしとなったはずだ。もう利上げ自体は相場に100%折り込んでいるので、QTに関してうまくかわせれば、3月16日のFOMC前日まではロシア・ウクライナ情勢次第ではあるものの高確率で反発するものとみている。そもそも、じきにロシアとウクライナは停戦交渉を行い戦争は終結に向かうだろう。日曜PM23:00現在ベラルーシ国境で停戦に向けた対話が行われると発表されている。ただ、ロシアの要求は強いだろうからすんなりいくとは思えない。そもそも現在はウクライナ軍の健闘が伝えられてきており、ロシアはウクライナ制覇に1-2週間程度時間をかける予定だったことからもまだ予断を許さない。
今週筆者は、NYダウの33,270ドル割れと、ナスダック指数の13,100P割れが起きるまでは強気で相場に臨む予定だ。※NYダウの年初来安値は32,273ドル、ナスダックは12,587Pである。横の画像はナスダック指数である。
日経平均に関しては、現状では米国市場にくっついていくだけの金魚のフン市場であるので米国だけを追っていきたい。ちなみにここまでの安値は2月24日に、日経平均は25,776円まで下落し、TOPIXは1,843Pをつけている。マザーズ指数も同日648Pをつけていたが、先物では632Pの安値があった。
それではどこまで戻るか? これは予想が難しいが、とりあえずロシア・ウクライナ戦争が勃発する前の日経平均でいうところの27,600円ラインまでの反発は予想できそうだ。
ここまでいくのなら筆者は、グロースポジションは閉じて、SWIFTの流れで下がっている銀行株(メガバンク)を3月配当権利落ち前にぜひ購入したいと考えている。