アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<記事紹介>「『価値』を入れ替える政治に転換せよ」(『サンデー毎日』。2月27日号)

 政治学者の白井聡氏の特別寄稿。 タイトルだけだと何のことかわからないが、この間、「日本維新の会」が大阪だけでなく、全国的に支持を得るようになっている理由につき論考したもの。 いうまでもないが、白井氏は「維新」を評価していない。 だが、今、世界はインターネット、SNS、動画サイトなどの新しいメディアが登場するなか、これらニューメディアが情報操作に利用され大きな影響力を持って来ていて、維新はそれを最大限利用し、党勢の拡大に成功した政党ではないかと見ている。 具体的には、菅直人元首相の「ヒトラー発言」に対する維新の会側の猛反発もその典型例だという。 菅元首相のこの発言が、「ヘイトスピーチで国際的に許されない」との維新側の主張だが、「これほどの赤っ恥も珍しい」と白井氏は喝破。欧米では政敵をヒトラーに例えるのはありふれた行為に過ぎず、オバマ大統領(当時)もティーパーティー系の人から「ヒトラーのような国家主義者」と。トランプ大統領(当時)もまた「ヒトラーの如き扇動者」と批判されていたという。 それにも拘わらず、維新がそんな主張をするのは自分たちの勢力を延ばすための戦略からのことで、そこでは事実かどうかは問われていない。安倍晋三首相(当時)が「桜を見る会」を巡るだけで国会で118回も嘘をついたが、体制の原理そのものが「フェイク」の今、「フェイク」に対して「事実」を対置してもほとんど効果は望めず、大宅壮一氏がかつて言ったように、メディアによる「一億総白痴化」の状況という。 そして、そもそも維新が伸びたのは、在阪TVがまず橋下徹氏という「モンスター」を育て、次が吉村洋文府知事だと。 大阪府はコロナ死亡率が全国最悪なのに、吉村知事がワイドショーを始めとするテレビ番組をはしごし、疲労感と悲壮感をたたえた表情で、感染拡大阻止の行動規則などをあくまで低姿勢で呼びかけた「感じの良さ」で支持を得ているという。 これは民主主義の後退ではなく、多数派の獲得を基本原理とする民主政治は「真実」や「事実」より、イメージ操作で大衆の支持を得ることで権力を追及する政治で、「フェイク」や「ポピュリズム」が民主政治の本質だからという。 大衆を扇動した政治家といえばヒトラーがその典型例だろう。 菅元首相はそれを橋下氏に感じて「ヒトラー発言」をしただけのことで、それがまさに正解だから、維新側はあれだけ猛反発しているだけのことではないのか? こうした「フェイク」が罷り通る今、白井氏は、この状況に対抗するためには「事実」ではなく、「多数派の『価値』観に合致したもっともらしいことを上手に演出する手腕」が必要という。…

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