上 申 書 東京第二検察審査会御中 2004年11月24 山岡俊介(「平成16年15号」申立人・ジャーナリスト) ●山岡の「示談書」が無効なのは明白 11月17日、東京地方裁判所(青柳勤裁判長)は武井保雄被告(前武富士会長)に対し、懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡しました。しかし、このように判決が軽くなったのは、私が示談に応じたと判断し、それを考慮した点がかなり大きく影響していると思われます。 しかしながら、これは完全な事実誤認で、私は騙されて示談の場におびき寄せられ、さらに、武井の「検察の作文だ!」という虚偽の冤罪論を信じ込まされ、結果、同情するなどして応じたものですから、本来、無効である事は明らかです。 実際、裁判長も私のこの主張を無視するわけにいかず、判決文のなかで、わざわざ以下のように記しています。 「ただし、山岡との示談交渉の過程で、同人との面談に際して、保釈中の被告人武井が、当裁判所の面接許可の趣旨を逸脱し、罪証隠滅工作とも受け取れる言動に及んだことは、誠に遺憾であることを指摘しておかなければならない。山岡は、示談は自己の本意に基づくものではないとし、依然として、被告人武井らに対する厳罰を望んでいる旨、供述しているところである」 ところが、わざわざここまで記しながら、 「本件に関し、山岡及び高尾に対して損害を賠償し、それぞれ示談が成立しており、高尾は、被告人武井及び被告会社を宥恕し、寛大な処分を望んでいること」 とも記されています。 要するに、上記の私の主張部分は、カッコ書きで補充されているかたちになっているのです。さらに申せば、私に対する損害賠償は、私が書いた盗聴に関する記事が真実であるにも関わらず、嫌がらせ訴訟提起し、事件化にして自らの立場が悪くなるや、一転、情状を願って、自ら提起した訴訟を「放棄」、一方、事件化する前に私が意地で反訴したことに対し「認諾」した結果で、高尾氏の示談とはまったく意味が違います。したがって、私への損害賠償は私が同意したものではなく、また、私に関しては、武井に対する寛大な処分を望む文書と引き替えの賠償でないこともいうまでもありません。 それにも拘わらず、なぜ、高尾氏の示談と同列のような判決文となったのしょうか。 ●政治的な圧力が働いた結果では? 私は何か政治的な圧力があり、しかし、私の言い分に理があるため、裁判長は圧力に抵抗し、わざわざ上記のように、カッコ書きで私の主張を入れたとしか思えません。それでなければ、私が示談したと認めながら、それに矛盾する内容を入れる意味がありません。 また、武井が二重に私を騙して示談に持ち込んだ際、冤罪論を展開していることでも明らかなように、判決文のなかでは、 「いずれの事実についても(犯行を認めて)反省の態度を示して」いると述べられていますが、これが表面上だけのことであるのは明らかです。 ●武井が反省していないことを物語る3つの発言 実例を3つ上げます。 04年8月2日公判では、武井が「検察の作文だ!」などと冤罪論を主張した会話を私が録音したICレコーダーが流され、さらに、私が証人出廷しました。これを受け、同年9月16日に武井の証人尋問が行われました。 その際、この逃れようのない証拠、証言を前に、まず、武井は「検察の作文だ!」と語ったことについて、「検事さんが作文(調書)を作るのは大変ですね」と、検事の労をねぎらう旨のことをいったに過ぎないと主張したのです。 さらに、武井は示談交渉の場で私に対し、盗聴の事実をまったく知らなかったと主張し、驚く私が、「冤罪なんですか?」というと、「そうです」と確かに答えているのですが、これについても、「山岡さんが“冤罪”というから、私は(そうでないから)困ったんです。しかし、山岡さんの機嫌を損ねると……(示談書にハンコをもらえないとまずい)。それで、ある意味で逃げた(“はい”と答えた)んだと思います」と証言したのです。これは、自らが虚偽の冤罪発言をしたと認めているといっていいのではないでしょうか。 極めつけは、「私は“冤罪ではない!”といったんです。ところが、(山岡が検察側に出しているICレコーダーでは)その部分が消えているんです」と主張、私の提出したICレコーダーの内容が改ざんされている旨の主張までしたのです。 これほど、反省の気持ちなど微塵もなく、悪あがきし、その事実が白日の下にさらけ出されながら、なぜ、私との示談が認められ、武井の罪が猶予されなければならないのでしょうか(もちろん、山岡は武井の言葉の揚げ足を取って逆に彼を嵌めたわけではない。その証拠に、ICテープのなかには、判決確定後、武井が私とフリーライター仲間の寺澤有氏と会って、冤罪の証拠資料など出すから、そのインタビュー記事を書いてくれといっている場面もあるのだ。ただし、いまこのことが知れると検察に保釈取消りを申請される、そうなると身が持たないから黙ってくてくれとも。さらに、冤罪といいながら、カネを払いというから、“冤罪なら、告訴している私の勘違いなのに、なぜ、そんなこというんですか?”と山岡に断られ、“それはそうだけど、気持ちだから……”と武井が意味不明の返事をする場面も)。 ●なぜ、武井は部下だった元武富士課長より罪が軽いのか? さらにいえば、例えこうした悪あがきがなくても、同罪に問われた元武富士課長の判決が懲役3年、執行猶予5年(控訴せず、確定済)と武井より重かったことを見れば、とても平等に審理されたとは思えません。 元課長は、電気通信事業法違反に加え、業務上横領罪にも問われており、単純に比較はできません。しかし、元課長が後者の罪名を問われた、武富士社内から盗んだとされる内部文書とは、盗聴等、武井ないし同社の不正や疑惑を裏付ける証拠資料が大半だったこと、その証拠資料の一部を入手できたからこそ私が武井等を刑事告訴できたわけで、それにも拘わらず、なぜ元課長はこんな“形式犯”にも問われ、一方、武井は盗聴を指示する立場であり、もう1つの罪名である名誉毀損の内容も極めて悪質にも拘わらず(「山岡が自己の盗聴被害につき告訴等に出るや、被告人武井は、自らの非を何ら省みることなく、部下らに指示して、山岡に対して本件名誉毀損行為に及んだのであり、犯情はまことに悪質である」判決文より)、武井の方に軽い判決がでるのでしょうか。 以上のように、誰もが首を傾げる判決と言わざるを得ません。 どうか、貴検察審査会がもう一度、予断を持たず、これで本当にまともな判決といえるのか、審査いただきたく思います。 何卒、よろしくお願い申し上げます。 {添付書類} 武井に対する判決要旨 1部 ★ミニ情報 ○「政財界」のHPから、「山岡を告発する会」が削除に この間、山岡を「ブラック」と罵り、武井保雄並びに武富士をヨイショし続けていた「政財界」だが、山岡が刑事、民事で告訴するや、「山岡による被害者の会」とか、「告発する会」とかいうものもをデッチ上げ、一般から山岡を刑事告訴するための情報を募るといっていたところ、数日前、突如、そのHPが消滅していたことが判明した。ということは、いよいよ膨大な被害が集まり、刑事告訴したということなのか? それとも、名誉毀損の証拠隠しか? ○野田敬生VS鈴木宗男元代議士異色対談、大盛況に終わる 先日、ミニ情報で案内した東大「駒場祭」のイベントとして実現したこの対談、350名収容のところに400名も集まり、大成功に終わったそうだ。興味のある方は、この2人のツーショット写真、 対談中の音声をどうぞ。 ○菱和ライフの中間決算に関して粉飾疑惑が出ている 去る11月10日、東京駅八重洲口のビル内で05年度中間決算発表を行った不動産会社・菱和ライフクリエイト(東証2部)に関して、粉飾決算を指摘する声が出ている。根拠は、その場でも配られた有価正面報告書27Pに記された「販売実績」の不動産販売事業分内訳 の「その他」が40億7830万9000円もあり、前年同期と比べても258・7%も伸びている事実。「マンションを建てるために仕込んだ土地を売却して販売実績、利益まで水増ししているのではないか」というわけだ。少なくとも、この売り上げがなければ、前年同期比、売り上高が横ばいに終わっていたのは事実である。また、この9月27日、同社株は1・2に分割されているが、これについても「普通、1000円程度の株価で分割はしない。カラ売りが多量に出ており、それに対抗して値を上げるためにやったのではないか」との声も出ているのだが……。…