筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。
こないだ朝日新聞の連載「サザエさんをさがして」で「牛乳配達」のことが取り上げられていた。そういえば昔はどの家の玄関にも牛乳を入れる木箱があって、自転車で配達する少年(新聞配達同様、中学生くらいでやってたんだよ)が空ビンを回収して新しい牛乳を何本か入れていくのだ。
学校給食は、こちとら小学5年生のあたり(ちょうど東京オリンピックの年だ)に、ぬるくて薄甘で評判悪かった脱脂粉乳からビンの牛乳に切り替えられた。だもんでビンの牛乳への感激は、この辺りを体験したもの(60代半ばより上)でないと分からないだろうな。
中学生になると、今度は三角パックの牛乳が登場して、さらに今ではスーパーやコンビニでいろんな分量のパックがあるから、牛乳配達ともビンの牛乳とも縁が薄くなってしまったが、しかしである。ビンの牛乳でなければダメな空間がある。それが駅の牛乳スタンドなのだ。
船橋市在住で総武線で都心に出る機会が多いので、昔から秋葉原駅ホームの「ミルクスタンド」でビン牛乳をよく飲んでた。ここは牛乳だけでも10種類以上あって、たとえば最近の人気は「みんなの牛乳」(「今なら140円」の表示あり)で、どれにしようか一瞬悩んでしまうのだが、プロフェッショナルの牛乳飲みは迷わず注文。ものの数秒で飲みほして電車に乗る早業をみせる。
ここはアンパンとか菓子パン、調理パンなどもあって、牛乳&アンパンで、素早い朝食や、おやつを済まそうなんてときによくチョイスした。これも迷っていたらダメで即決早食いが基本なのだ。