大手マスコミ既報のように、日本医科大学付属病院(877床。冒頭写真。東京都文京区)が、大学院生の医師に外来診療させながら賃金を適切に支払っていなかったとして、労働基準監督署に是正勧告されたことが判明したのは今年1月26日のことだった。院生の医師を労働者と認め、病院側に是正勧告したことが明らかになったのは初めてのこと。
かつて研修医が無給で働く慣行があったが、問題とされ、今では待遇はかなり改善されている。
院生も他の研修医などと同様、医師国家試験をパスしている。そして研修医や専門医として勤務後、博士号取得のために大学院に進んだという者は多い。ところが、かつての研修医同様、「勉強の一環」などの理由で賃金が支払われていないケースは多く、文科省の18年9月時点の調査でも、少なくとも59病院で3000人近い院生が無給という。その事実からすれば、今回の日本医科大の院生11名は「氷山の一角」といえそうだ。
今回の是正勧告、無給がハッキリしているのは19年10月28日から11月9日だけで、労基署は常態化していると見て過去2年間分について調査するように指導している。そして、これを契機に、他の大学病院でも是正されることに繋がればいいのだが、そんななか、本紙の元に、日本医科大の職員から内部告発が届いた。
その内容だが、今回の是正勧告を契機に、同大経営陣は反省し是正に取り組む姿勢がまったく見られない。また、それには従来の「勉強の一環」とはまったく異なる別の理由もあるという。