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<復活!!>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第35回「井筒の昭和総括『無頼』」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 井筒和幸監督の8年ぶりの新作『無頼』を観てきた。今、昭和のアウトローをこれだけのスケールと思い入れを持って撮れる監督といえばやはり井筒和幸だろうな。
井筒は1952年生まれ、いわゆる団塊の世代のちょっと下で、こちとらの1年先輩だが、ここら辺の世代は、高校闘争世代とか、シラケの世代とか、フォーク&ロックに夢中で、同時代の映画志向でいうと『仁義なき戦い』に代表される東映実録路線、日活ロマンポルノ、アメリカン・ニューシネマなど、60年代から70年代の刺激的で暴力的な濃い時代を10代で体験して、平成の30年間には猛烈な違和感を覚える、そんな感じだ。
井筒の映画が最初にガツンときたのは1981年の『ガキ帝国』だった。これは大阪の少年愚連隊の青春を描いた痛快な映画で、新作の『無頼』のベースともいえる。さらに2004年の『パッチギ!』は、在日コリアンの少年少女のケンカの日常と淡いロマンを描き、これもベースだ。
 『無頼』は一口で言えば、井筒流の昭和総括に加え、『ゴッドファーザー』と『仁義なき戦い』へのオマージュといえるね。主人公の不良少年時代(1956年)に始まり、ヤクザの道に入って刑務所と娑婆との往復を重ねながら一家の組長にのし上がり抗争と離合集散の70~80年代、さらに60歳にして引退を決意して、もう一つの道を選ぶ21世紀初頭まで、魅力的なアウトローたちの弾けるさまが壮観だ。

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