■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は17,820円と、先週比-1,569円安(前稿比+2845→ ▲878→ ▲3318→ ▲393円→ ▲2245→ ▲301→ ▲140→ +623→ ▲622)だった。
3月31日の年度末には19,336円と、3月25日につけた戻り高値19,564円に迫る場面があったが、日銀の簿価(19,500円)あたりで急速に伸び悩んでしまった格好で嫌な雰囲気。
日経平均CFDを見ると、夜間取引で17,724円と-100円の小幅安で戻ってきたが、週末は新型(コロナウイルス)関連で、尽きることない悪材料が出続けているので、月曜日の日経平均株価の寄り付きはこの17,724円を上回るか? それとも下回るか? で、相場の強弱を判断するしかないだろう。基本的には、週末にはリスク回避の売りがでているだろうから、普通なら月曜日の寄り付きは強くなってしかるべきだが。
また、NYダウは、週間で-585ドル安(※+2463→ ▲4012→ ▲2679→ +456→ ▲3583)。米国は新型肺炎(コロナウイルス)の蔓延が止まらず、普通ならパニックになってしかるべきだと思うが、日本株に比べてみれば株価指数は大きく崩れない。
しかし先週は、前述の通り、週間で-1569円安。売買代金も減ってきており、動意が感じられない1週間だった。特に週末にかけて木曜日・金曜日は出来高が大きく減ってしまっており、金曜日は2兆3886億円の商いと、たいへん心細い有様。現段階で多くの投資家は「相場が本格的に戻る」とは思っていないようだ。それもそのはず。世界では77億人の人口のうち39億人までもが、外出制限の規制の対象になっているという。実態経済はメチャメチャで、いまだ立ち直りの兆しすらみせていない。
そう、先週も「新型肺炎」(コロナウイルス)の感染拡大はまるで止まっていない。
まずは3月11日に、全土で飲食店などの店舗を2週間閉鎖し、移動制限が発令されたイタリアからみていく。25日+5879人増加→ 26日+5210人→ 27日+6153人→ 28日+5959人→ 29日+5974人→ 30日+5262人→ 31日+4050人→ 1日+4053人→ 2日+4782→ 3日+ 4668人→ 4日+4585人→ 5日+4805人(※現時点で124,632人の感染者数)。専門家によるとピークアウトしているということらしいが、イタリア人の実感では、せめてデイリーで3000人を切るくらいまで罹患者数まで落ち着かないと、心の震えは止まらないはずだ。
そして感染の爆発的感染に至った米国は、25日感染者+8591人増→ 26日+14156人→ 27日+16643人→ 28日+19025人→ 29日+19818人→ 30日+19143人→ 31日+20883人 →1日+24914人→ 2日+27089人→ 3日死者+28851人→ 4日+32885人→ 5日33787人(※合計感染者数312,245人)と、現在が最高値だ。死者の数も右肩上がりで、5日に合計+8503人となっている。こちらは、半狂乱となってしかるべき状況。ただ、この直前にもインフルエンザにより、2ヵ月間で1万4000人程度の死者がでていることはご愛敬だ。
そして世界の感染者数も、25日+39788人増(死者+1720)→ 26日+41357人(死者+2208)→ 27日+48407人(死者+2392)→ 28日+62402人(死者3156人)→ 29日+62963人(死者+3460人)→ 30日+58216人(死者+3147)→ 1日+57579人(死者3297人)→ 2日+72511人(死者4192人)→ 3日+72618人(死者4923)→ 4日+75620(死者4790人)→ 5日79029人(死者6657人)と感染者・死者ともに現時点が最高値であり、収束など夢のまた夢。
我が国・日本に関しても、24日まで1日10人台だった新規感染者数は、25日~27日に連続で40人を越え、28日は突如+104人に増加→ 29日+194人→ 30日173人→ 1日+225人→ 2日+203人→ 3日236人→ 4日318人→ 5日336人と増え続けている。
米国の感染者数は、3月10日までの合計で1000人足らずであったが、4月5日現在で、312,245人の約312倍になった事実を重く受け止め、安倍総理は「首都閉鎖のロックダウン(住民の経済活動の制限)」を決断するか? に日本株の焦点は移ってきたとみていいだろう。
今週のストラテジーをまとめたい。
まずは米国だが、ニューヨーク州のクオモ知事は4日の記者会見で、同州での「感染ピーク」は4~8日後になるとの見通しを示している。まず今週は、この見通しが正しいのかジャッジする作業が一番大事だろう。米国での最大の感染地であるNY州での感染ピークアウトは、世界の株式市場に与える影響が極めて大きい。いずれにせよ、今週は買いで入るのはまだ早い可能性が濃厚だ。 また、このところ株式市場を騒がせている、米国の「週間新規失業保険申請件数」。先々週は328万件、先週は665万件だったが、今週9日のコンセンサスは500万件と高水準。ただ、米国の民間雇用者数は1億3000万人で、サービス業に従事しているのは84%。そのうち娯楽・宿泊・外食に従事するのは約1700万人だというので、ドラスティックに人を削減する米国企業だとしても、さすがに9日あたりでそろそろいったんの打ち止め、となりそう。