筆者・平地治美(薬剤師。鍼灸師)。漢方の良さを伝えるため、日々の臨床では治療だけではなく自然治癒力を高めるための“養生”の指導に特に力を入れ、一般の人たちへの健康指導を積極的に行う。朝日カルチャーセンター新宿、津田沼カルチャーセンター等で「女性のための漢方レッスン」「舌診入門」「季節の過ごし方と食養生」などの漢方関連の講座を担当。和光治療院・漢方薬局(千葉市若葉区TEL043-232-6258)で治療。千葉大学医学部医学院和漢診療学講座非常勤講師。京都大学伝統医療文化研究班員。日本伝統鍼灸学会理事。漢方三考塾講師。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る、動かす、食べるで健康になる』(日貿出版)。
夏の土用は立秋の前の約18日間を指します。
今年2015年の夏の土用は7月20日から8月6日です。
「土用」というのはじつは夏だけではなく春、夏、秋、冬それぞれの季節にあるもので、その季節を破壊して次の季節を再生する時期ということになります。春を壊して夏になり、夏を壊して秋になる、という具合で季節が巡るのですが、それを自然界の「土」の働き(土は様々なものを分解し、新しく育てる)に見立てているのです。
そんな土用の時期は、季節の変わり目で気候も不安定になり、自然界の影響を受けて人も体調を崩しやすくなります。特に五行(木火土金水)で土に配当される胃腸の働きを崩しやすくなります。
この夏の土用のころは、高温で湿度も高い日が続きます。この季節は汗が出にくかったり、汗をかいてもすぐには乾かずベタベタします。また汗で湿った衣服や雨に濡れたり、住まいの湿気などが原因で『湿邪(しつじゃ)』を受けやすくなります。湿邪が体の浅い部分を侵すと、
・関節が重い感じで動かしにくくなる
・体全体が重だるい
・むくみやすくなる
・おっくうで疲れた感じ
といった症状が出やすくなります。