●今週始め、名誉毀損罪で警視庁に 特別背任疑惑で窮地に陥っている荒木民生氏だが、パシコンの持ち株会社「パシフィックコンサルタンツグループ」(PCIG)のグループ・コンプライアンス本部の平山光調査役が、今週初め、警視庁に対し、「毎日新聞」の記事は事実に反するとして、名誉毀損容疑で刑事告訴していたことが、関係者の証言等で明らかになった。 告訴されたのは、この取材を担当した社会部の石丸整記者とその上司。 ただし、荒木氏側としては、特別背任疑惑はデタラメと主張したいものの、それは出来ないため、記事中、荒木氏に1億4500万円が還流したとされる荒木ファミリー企業「パシフィック・ジャパン・ネットワーク」(PJN)がパシコングループ企業となっていた箇所のみを名誉毀損の該当箇所としているとのことだ。 ●報道に対する圧力が告訴の目的では それにしても、なぜ、刑事告訴なのか。 しかも、少なくともいま現在、民事提訴の話はきかない。 そこで、まず気になるのは、毎日新聞社並びに代表ではなく、担当部署の直にパシコンを取材した記者と上司を訴えている事実。これは、毎日新聞社をまともに相手にはしたくないが、告訴しないと格好がつかない。その点、直に関わっている者だけ訴えるのが一番リスクが少ないし、担当者への圧力になるということではないのか。 しかも、荒木氏自身が告訴人にならず、腹心の平山氏にさせているが、これは自らは何かと煩わしいという判断からではないのか。 本紙既報のように、パシコンにはコンプライアンス(法令遵守)委員会が設けられ、ヤメ検が多く名を連ねている。その委員会の事務局責任者を務めているのもこの平山氏なのだ。 それにしても、正確な記事内容は「PJNはパシコンのグループ会社ではなく、荒木ファミリー企業」ということ。その事実こそ、まさに特別背任容疑の大きな構成要件の一つなのだから、それを正すことは、荒木氏自らの首を絞めることになると思うのだが……。それに、その程度の誤りで警視庁が正式受理することは常識的には絶対にあり得ないことだ。 一方、平山氏はファックスにて毎日新聞社側に告訴した事実を伝えている。 刑事事件では、相手に告訴の事実を伝えることは、相手に証拠隠滅などを図られることから、、警視庁はひじょうに嫌がる。もし、本当に捜査してもらいたいのならこんな愚かな行動はしないはずだ。 つまり、荒木氏も受理は無理とわかっていて(もちろん、正式受理にはなっていない)、しかし、毎日新聞には告訴の事実を伝えることで、今後の記事を書きにくくするように圧力手段として刑事告訴を使った可能性がありはしないか。 「パシコン側を取材すると、こちらが聞きもしないのに、『毎日新聞』を刑事告訴したというんですよ。そのくせ、記者会見したり、公に訴えないことでも、我々にも記事を書くなとの無言の圧力でしょう。他社のことながら、卑劣なやり方だと思いますね。本当に事実無根というなら、記者会見を堂々と開き、疑惑の問題について詳しく反論すればいいだけのことでしょう。自宅前におけるテレビ局の取材でも、疑惑には強気の姿勢を取ったものの、高層マンションの1階玄関を出る際には、周りをきょろきょろ見渡して、記者のような者がいるとあわてて内側に逃げ込んで、またしばらくして出て来てあたりを見渡す行動を取っている。なぜ、本当に事実無根なら堂々とし、今回も自分の名前で訴えなかったのでしょうか?」…