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『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』第41回「ダークシャドウと1972年」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 先日観た映画『ダークシャドウ』(監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップ)は、ジョークとパロディ満載の怪奇ホラーものとしても楽しめたが、キモは、ヴァンパイアが200年を経て復活する時代を1972年に設定したことだね。当時の風俗、ファッション、ヒット曲などの空気感が、大時代的なゴシックホラー調と合わさってなんとも味わい深い。
たとえば屋敷に住む15歳のロック好きとんがりネエチャンが、家庭教師の女を指して「カーペンターズが好きなんて(超ダサ)」とおちょくると、ジョニー・デップ扮する200年前のヴァンパイアが、「大工(カーペンター)が好きだって?」なんて勘違いのやりとりとか、ラブ&ピースのヒッピーたちとヴァンパイアの変なコミュニケーションとか、伝説のロック・ミュージシャンであるアリス・クーパーが本人そのまま登場で歌うとか、いろいろあるので、70年代フリークは見逃せない。その72年といえばもう40年前、連合赤軍事件と沖縄返還の年でおなじみだが、映画に関しては、なかなか面白い年だった。
当時、高校3年から浪人(予備校は行かず)のこちとらは、シラけた気分を抱えながら、映画三昧の日々だった。映画日誌と星印の採点表をつけて自分だけのベスト10をつくったりしていた。安い名画座、三番館もたくさんあって、夏には「ぴあ」も創刊されたが、御茶ノ水や早稲田などの学生街を歩いていると、よく自主上映会のポスターが貼られていたりして、街頭が情報源だったわけだ。洋画では、『時計じかけのオレンジ』『わらの犬』『脱出』『ソルジャーボーイ』『ダーティハリー』『フレンチ・コネクション』『ゴッドファーザー』『死刑台のメロディ』なんてのがお気に入りの上位で、日本映画は『女囚701号さそり』『現代やくざ・人斬り与太』『狂犬三兄弟』『昭和おんな博徒』『日本暴力団・殺しの盃』『軍旗はためく下に』『白い指の戯れ』『追いつめる』『天使の恍惚』なんてのが上位と、なかなか充実のラインナップだ。

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