■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日の日経平均株価は、午前11時に一時+500円となるも、そこから謎暴落をし-500円まであって、結局-415円となる21,469円(※前日比+101円)で引けた。しかし同日の夜に米国2月雇用統計が発表されると、NYダウは+440ドルとなるとともに、日経平均CFDも+440円高となる21,910円となり、荒れに荒れた先週末の相場は、高値圏まで押し上がって終わったわけだ。
さて、2月2日に株価大暴落のきっかけとなった、前回の1月雇用統計からはや1ヶ月。今回2月の雇用統計では、雇用者数が市場予測+20.5万人を遥かに上回る+31万3000人。また最重要事項であった賃金は、前年比+2.6%と市場予測に届かなかった。するとこれを、「賃金が抑制されながらも経済は好調を維持できている―――ならば利上げペースは加速しない」という、都合の良い解釈に帰結し、日米ともに株価は大きく反発することになった。筆者は、金曜深夜には、ほ―――っと一息、「これでようやく下げ相場も終わって、ここからは穏やかな戻り相場が始まる…zzz」と期待して就寝したのだが、起きてみるとどうも様子がおかしい。週明け月曜からは「森友学園」絡みで政局となりそうな気配。延いてはアベノミクスに支障がでる可能性まで考えられるというから、またまた相場が荒れる気配が漂ってきている。
この「森友学園」についてはここで詳細を記さないが、NHKが毎月行っている内閣支持率の世論調査は、前月が13日公表だったことから、今月も3月13日(火)にでてくる可能性が高い。その他のマスコミも世論調査を週明けには続々と出してくるだろう。海外投資家は、とにかく政治の混乱を嫌うので、またひと波乱ありそうな気配であり厭世的な気持ちにならざるをえない。
さて、今週と4月新年度に向けてのストラテジーに移りたい。
現在の25日移動平均線は21,752円。日経平均株価先物は21,880円あたりだと推定されるため、月曜日はデイトレーダーの皆さんでなくてもこれを意識しての相場展開となりそう。また3月のメジャーSQ値は、21,575円となったため、週明けは森友学園の政治動向と、このSQ値との睨めっこになる。今週は、この日本固有の問題がどこまで「政局」となるかにかかっており、予想が立てづらい週だ。現時点では21,575円のSQ値を引け値で割ってくるような展開を考えていないが、そうなった場合は、素直にヘッジポジションを保有したほうがよいだろう。さすがに今週は200日線である21,216円を下回るとは考えづらいので、ここは割愛する。
さて、森友学園なんのその、すぐに日本株が立ち直り上昇を開始した場合、どちらかというと今週はこちらが本線だと考えている。それというのも、テクニカルの項に記したように「裁定買い残」が大きく増えている兆しがあるからだ。これは海外勢の先物買いである可能性が高く、待ちに待った週を通しての外国人の株式買い越しのサインである! といっても過言ではない。さらに今週、空売り比率が減ってきたら、まさに鬼に金棒となる。こうなった場合は「売らない事」。なぜならばいま上に向かう動きがでるのなら、それは初動の初動だからだ。
ドル円に関しては、期末を前にして運用難にあえぐ地銀などの、米国債券損切り→日本株リカクの流れが今週いっぱいまで続くという見方が強く、円高圧力はかかり続ける。また例年3月中旬までは、日本の輸出企業が、決算のために外貨を円に換える時期でもある。また、日本市場は完全に期末モードに入っており、国内機関投資家の積極的な売買は引き続き手控えられ、3月いっぱいまでは海外勢の胸先三寸の相場つきとなりそうだ。
とはいえ、株式市場の下落も1ヶ月を越えてきて、そろそろ本格的な出直り相場に移行する時期。世界中の待機マネーは、運用先を求めており、いつまでも行き場もなく彷徨いつづけることはない。