アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<新連載>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』(第11回)「戻れるならいつ!?」

 筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 あの頃に戻りたいなんて、本当に戻りたい年を1年選べなんていったら、どこに人気が集中するかな。たとえば、昭和レトロ大好き団塊オヤジだったら、あの「三丁目の夕日」で描かれた東京タワー完成当時の1958年頃とか、政治も文化も激動の1968年頃になるんだろうな。さらに、バブルを満喫した世代なら、その頂点の1989年頃かな。
 しかし、過去は何でもユートピアのように美化されがち。たとえば、「三丁目の夕日」の時代なんて、環境最悪、インフラ整備もひどい、冬はしもやけ、あかぎれ、土ぼこりで結膜炎だハヤリ目だ、歯医者はこわいし、給食も不味い、栄養状態悪し、水洗トイレも少ないと、夜は真っ暗、大雨ふったらぬかるみ、と大変だ。68年も、スモッグ、排気ガス、ヘドロの公害問題、隅田川は近寄るだけで異臭が、駅のトイレ汚い、食品は添加物だらけ、映画館の椅子も劣悪だった。バブルだって、地上げ、人心荒廃、アホ学生続出、銀座で寿司食うOL、と、イメージ悪し。では戻ってみたい年なんてあるのか、あるんだよ。
おすすめは1981~83年頃。なぜ、ここらがいいといえば、フリーランスで仕事する人、出版マスコミ、バイト生活(フリーターってことばはまだない)、風来坊や高等遊民の人、いずれにとっても過ごしやすく、世の中が大らかで、アバウトだったのだ。

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