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<新連載>『田沢竜次の昭和カルチャー甦り』(第13回)「今見たら意外と良かった『勇気ある追跡』」

筆者・田沢竜次(フリーライター)。1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務などを経て1983年からフリー。85年『月刊angle』連載を基に『東京グルメ通信・B級グルメの逆襲』(主婦と生活社)を書き下ろし、また文春文庫の「B級グルメ」シリーズでも活躍。B級グルメライターとして取材・執筆を続け今日にいたる。一方、大学の映画サークルで自主上映するほど映画にも精通。著書に「B級グルメ大当りガイド」「ニッポン映画戦後50年」など。

 前回は、ジョン・ウェインは何故死んだか? と遺作の話で終わったわけだけど、そのジョン・ウェインが、悲願のアカデミー主演男優賞を手にしたのが、『勇気ある追跡』(1969年 ヘンリー・ハサウェイ監督)という異色西部劇。このリメーク版として先ごろ公開されたのが、コーエン兄弟監督の『トゥルー・グリット』である。こちとら『勇気ある追跡』は、何年か後にテレビで見て、『トゥルー・グリット』はこないだ映画館で見てきたよ。
実は『勇気~』のほうは、公開当時はほとんど見たいとは思わなかったのだ。というのは、69年当時といったら、アメリカン・ニューシネマ全盛で、ジョン・ウェインに体現される往年のマッチョ・ヒーローはもうお呼びでなかった。おまけにこの頃のジョン・ウェインといったら、ゴリゴリのタカ派、ベトナム戦争を扱った『グリーン・ベレー』(68年)もひどい出来で、映画好き少年の間でも、ジョン・ウェインはもうダメだし状態、その一方で、『明日に向って撃て』『さすらいのカウボーイ』『ワイルドバンチ』なんてのが、ニュー西部劇ともてはやされたっけか。
 ところが、テレビで何となく見ていた『勇気~』が意外と良かったのだ。14歳の娘が殺された父の敵討ちに、大酒飲みの老保安官を雇って、追跡の旅に出るお話。小娘に翻弄されるジョン・ウェインが何とも微笑ましく、味わい深い、う?む、好きになりそう。考えてみれば、こういう設定もニューシネマ時代の投影ともいえそうだが、面白いのは当時小娘に扮したキム・ダービー、男の子のようなキャラクターでこれまたいい味をだしているんだが、何と2年後にはあの『いちご白書』で、学園紛争の活動家の役柄で一躍、有名になる。確か、ジョン・ウェインは当時、どこかの大学で、学生相手に大演説をぶって
「困ったオヤジ」状態だったそうだが、キム・ダービーの役柄を見たら、「相変わらずの小娘だな、へらず口だけは一人前だ、嫁の貰い手がなくなるぞ」とか何とか、ぼやいたかも知れない。

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