本紙では、これまでにもこの手のケースをいくつも報じて来た。だが、今回の内容はかなり特殊といっていいようだ。
通常、上場企業に反社勢力が入り込むとやがて経営権を握り、自分たちの息のかかった企業と提携するとか、M&A名目でバカ高く売りつける。逆にその上場企業が持っていたら安価で不動産を売却させるなどして、ともかく上場企業の資産を食うのが常識だ。そして、反社勢力が入り込むのは上場企業の資金繰りが厳しく、増資を契機とすることが多い。
これに対し、今回のケースは、上場企業(冒頭写真は本社入居ビル)の雇われ社長が闇金、それも山口組系有力組織と懇意なところから多額の借金をしており、その“付け馬”としてその反社勢力が何とその上場企業の社員になっていたようなのだ。
そこまでやられている雇われ社長、何とか借金を返済しようと、その上場企業並びに社長の肩書きから来る社会的信用を背景に個人的にM&A仲介を行い、あるいは、仲介するふりをして、いずれにしろ手数料を受け取り、それを返済に回そうと考えたようだ。
これでは、この雇われ上場企業社長を信じ、窓口とし、別の上場企業のM&Aに動いたメンバーは堪らない。M&Aはならず、手数料は持ち出し。おまけに、反社勢力から脅される可能性も……。
この疑念を持つや、即、メンバーは当局に駆け込んだ。
この12月に入ってからのことだ。