アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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除染作業員の被曝と引き換えにボロ儲けする大手ゼネコン――元作業員に聞く

 本格除染が始まった福島県で、ずさんな「手抜き除染」が問題になっているが、除染作業員が置かれている労働環境も劣悪なものがある。
昨年初冬、福島県いわき市に住む大杉英輔さん(仮名。46歳)は友人の紹介で、除染作業の会社に勤務することにした。場所は「ニエフ」(福島第二原発のこと)近くの楢葉町の集落。本格除染がはじまったばかりだった。
作業内容は草むらでの草刈作業。10人で1チームとし、リーダーだけが積算線量計を持っている。しかし大杉さんは自分の線量計を持っていた。「測ってみたら、毎時50マイクロシーベルトはあった。もちろん場所によってムラはありますが、とてつもない数値です。本来、完全防護の体制で臨むべき場所です」。
ところが、防護マスクはなく、サージカルマスクを付けるだけ。タイベック(左写真)も着ないどころか、作業服すら支給されなかったという。
「これは危険すぎる。やってられない、と思い一日で辞めました」。そう語る大杉さんだが、「もっとも、完全防護で作業をしたら30分しか持たないでしょう。重い草刈機を背負い、草を集めて袋に入れていく作業は体力的にキツい。作業員のなかにはマスクすら苦しいからと、顎に付けているだけの人もいた。もう、諦めの境地ですね」。
大杉さんは放射線取扱主任者の資格を持っているため、その危険性がよくわかっていた。「内部被曝の点から言えば、イチエフ(福島第一原発)の収束作業より危険です。あそこは完全防護してますから。草刈作業は粉塵がたくさん舞うので、鼻や口から放射性物質を取り込んでしまう。それなのに、防護マスクもつけなければタイベックも着ない。しかも、服は自前だから作業後、汚染された服を宿に持ち帰ることになる。夜疲れて帰ると、洗濯するのも難儀です。こうして寝泊りする宿にも放射性物質が持ち込まれることになるのです」。

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