「埼玉県の一角で、社会福祉法人が埼玉県(上田清司=冒頭右写真)知事によって抹殺されようとしています。
毎年の県の監査では、良くやっているとの相当の評価を得ているにも拘わらず、同じ県の部署の一方において、次から次へと無理難題を吹きかけ、挙げ句、『言うことを聞かない』として法人の解散命令を出されたからです。
しかし、これは福祉の道義、世の中の道義に反するものであり、到底納得できるものではありません。最後まで闘う決心です」
開口一番、こう語るのは、昨年7月、埼玉県に解散命令を出された(冒頭左写真=解散命令書面)、社会福祉法人「翌檜会」(本部・埼玉県鴻巣市)の小島敏郎理事長だ。
同法人は知的障害者施設「啓朋学園」などを運営 しているが、このままではこの2月末を持って解散に至る。
軌を一にして、保護者の一部からは同法人財産の強制競売が申し立てされたものの却下。ところが、今度は保護者の一部が第3者破産を申し立てこれが許可に。これに対し、同法人は民事再生法申し立てなどで対抗しているが、県の解散命令は重く、民再開始決定が出る可能性は低いし、例え出ても解散命令に優先する可能性も高くない(同法人は解散命令の取消訴訟、行政処分執行停止申し立ても行っている)。まさに風前の灯火といっていい。
解散命令のハードルは高く、県の再三の指導に従わない、また財政再建の見込みが立たない時などに限られる。だが、この連載で後述するように真相はどちらの理由も該当しないと思われる。
また破産しても啓朋学園に入居している障害者が路頭に迷わないように、別の社会福祉法人が運営を引き継ぐ予定だが、この選定に関しても不可解な事実がいくつもあるのだ。