アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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組織的隠蔽かーー未だ処分が出ない自衛隊「中央即応集団」司令部隊員の傷害事件

 稲田朋美防衛相が自衛隊を自民党の“私物”かのような発言を行い批判を浴びているが、その自衛隊員が今年元旦、ちょっとした事件を起していた。
陸上自衛隊の「中央即応集団」ーー有事に迅速に行動するための部隊として07年に発足(人員は約4500名)。実際は「戦時下」といわれるなか、今年5月、全員が撤退を終えた南スーダンPKO部隊もここの所属。東ティモール、ゴラン高原などにも派遣されていた。その司令部は在日米軍基地・キャンプ座間と同居するかたちで神奈川県相模原市にある(座間駐屯地)。
その司令部に勤務するK氏が傷害事件を起こしたのは今年元旦のことだった。
K氏は40代半ばの独身だが、つきあっていた30代女性がおり、大晦日から彼が暮らす駐屯地官舎に2人は泊まっていた。
 その大晦日、K氏の携帯で2人で写真を撮っていた際、たまたま彼女はK氏の写真データを覗くことになる。K氏は昨年12月22日から29日まで単身タイ旅行に行っていたが、そこには現地女性を買春した際のものと思われる写真があり2人は口論に。一旦は治まったが、元旦の夕食後、彼女は約半年間のK氏との交際において積もった鬱憤が抑えきれなくなり、早めに寝ようと洗面所で歯磨きをしていた際、数回、壁を叩いたり蹴ったりしてしまう。
「Kは昨年8月下旬、出張でアフリカに行っているが、その際、経由地のタイでやはり現地女性を宿泊ホテルに誘い込んだ事実が発覚し、彼女と一度、別れ話になっていました。彼女にとれば、“また同じことをして!”との思いでしょう」(関係者)
K氏は壁を蹴るなどの音に気づいて彼女を睨みつけていたが、彼女は無視して歯磨きを続け、再び、壁を数回、叩き蹴る。
と、次の瞬間、K氏はうなり声を出しながら彼女のところに来て、彼女は腕を掴まれ、気づいた時には宙で半回転するかたちで左肩を下にして落下し床で強打。どうやら背負い投げをされたようで、左肩脱臼で全治2カ月だった(上写真=診断書。事件当日、すぐ近くの夜間外来で受診。1月5日、専門の整形外科を受診した結果)。
しかし、K氏からは見舞いや治療費支払いの申し出など一切無く、傷害を負わせたことに対する自覚や責任、反省もまったく感じられなかった(K氏は投げ飛ばしたことを認めないどころか、彼女に襲われそうに感じて無意識に押しただけと正当防衛かのような主張さえしていた)ことからK氏と別れ、1月11日に神奈川県警座間警察署に告訴。2月15日、K氏は書類送検される。しかし彼女が示談に応じたことから4月7日、横浜地方検察庁相模原支部はK氏を不起訴(起訴猶予)にした。
彼女が示談に応じたのは、提訴したことでようやくK氏が治療費の支払いに応じたこと、また隊内でそれなりの処分必至と聞いていたから。
ところが、未だK氏に対する隊内処分は出ていない。また、この間、自衛隊側がK氏の処分を免れるべくいろいろ工作したとも思われる疑惑が浮上したとして、この1度は蓋をされたはずの事件内容が本紙にもたらされたのだった。いったい、何があったというのか。

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