アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「勾留理由」を明らかにできない東京地裁刑事14部――三里塚「現闘本部」裁判事件

 去る5月20日、東京高等裁判所内で、成田国際空港会社(NAA)が「三里塚現地闘争本部」の撤去・明け渡しを求めた訴訟の控訴審判決後、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長(横写真)ら50人が逮捕されたことは既報のとおり。
6月3日現在、そのうち38名が拘留されたままだ。この勾留に対し、被疑者たちが勾留理由開示の請求をし、5月30日、31日とその裁判が計6回、東京地方裁判所刑事部法廷で開かれた。そのうちのひとつを今回、傍聴してみたのでレポートする。
まず異様なのが、法廷に入る前に裁判所の職員数十人がずらりと並び、手荷物と携帯電話を預けなければ傍聴できないという物々しさだ。そもそも裁判所玄関で金属探知機ゲートをくぐり、X線による手荷物検査を受けてからしか裁判所に入れないのだから必要ないはずだが、職員に聞いても「裁判長の指示です」と答えるのみ。
さて法廷に入ると、刑務官に連れられて3人の被疑者(いずれも男性)が入廷した。3人とも長引く勾留で、無精ひげが伸びていた。
冒頭、刑事14部の裁判長は「民事法廷管理官の構外退去の命令に従わず」「共謀の上、滞留した」こと、また「被疑者は住所不明」「罪証隠滅のおそれがある」と勾留理由を、早口で述べた。
これに対し、弁護団3人は求釈明書をもとに、裁判長に対して勾留理由を追及した。主に被疑事実をめぐるものだ。
弁護人が「退去命令はどうやって出されたのか」と問うと、「口頭によるもの」という返事。ところが、50人が滞留していたとされる裁判所内の“北側ホール”は広く、ドアで仕切られた待合室もある。本当に口頭での「退去命令」が全員に伝わったのか。
 そこで弁護団はさらに「この“北側ホール”は、待合室を含んでいるのか」と訊ねるが、驚いたことにこの設備上の形式的な質問にも裁判長は答えず、「説明の必要はありません」と繰り返す。だが、ここは重要な点だ。
「退去命令」が被疑者全員に周知されていなければ、「共謀して退去命令に従わなかった」という被疑事実そのものが崩れる(写真は東京地裁前で配られていた「救援連絡センター」発行のビラ)。

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