アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「コンピュータ監視法」参院法務委で可決、成立へ

 本紙がこの間、追ってきた「コンピュータ監視法案」だが、本日6月16日午後1時、参院法務委員会において、賛成多数で可決した。反対したのは井上哲士議員(共産)だけだった。翌17日の参院本会議で成立する。(冒頭写真=反対派市民のビラ)
審議が始まって以後、とりわけインターネット上では「通信の秘密が侵される!」「警察の捜査権が濫用されるのでは?」「フリーソフト作成者を萎縮させるのでは?」など、数々の疑問や不安が飛び交っていた。しかし東日本大震災報道の影に隠れ、大手メディアではせいぜい「ウイルス作成を取り締まるサイバー法」とだけ取り上げられてきた。この法案の存在自体、知らない人が多い。
本日の法務委員会審議で出された質疑応答をいくつか拾ってみよう。
木庭健太郎議員(公明)は、「差し押さえた証拠の書き換えが、大阪地検特捜部の事件で問題になった。捜査機関が電子データを差し押さえて複写する際、その同一性はどう担保されるか?」。これに対し江田五月法務大臣は、「複写の過程を記録したり、書き込み防止措置をとる。また適正な保管を行う」と答弁。だが、そのために捜査記録の国会報告をおこなうべきではないか、との問いには「捜査機関をしばることになる」と難色を示した。
 唯一反対の論陣をはった井上議員(横写真)は、「例えばジャーナリストにとって、取材源の秘匿は重要。『通信の履歴』を捜査機関が知らないうちに押えてしまえば、その秘密が侵されることになる」と疑問を投げかけた。江田大臣は「捜査機関は客観証拠を得るために『通信の履歴』が必要になることもある。もちろん、濫用はいけない」。
有田芳生議員(民主)からの「捜査機関に対しては、国民の間に不信が広がっている。この法案にも危惧の声があがっているが?」との質問に、江田大臣は「捜査機関には、きっちり歯止めがかかっています。少なくとも、私たち民主党が与党としている限り」と答えたが、この答えには委員会室から失笑がもれた。だが、政権が変わったら歯止めがかからない可能性があるのであれば、法案に重大な欠陥があるということではないのか。笑い事ではない。

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